中学受験における適性検査対策ガイド【公立中高一貫校】

「公立中高一貫校の中学に行きたい」という方にとって避けて通れないのが「適性検査」です。(適性検査なので公立中高一貫校受検という言い方が正しいのですが、この記事では一般的な認知度の高い「受験」表記で統一したいと思います)

私立中学の受験とはどう違うのかわからない、どのように対策すれば良いのかわからないという保護者やお子様が多いのが現実です。適性検査は学力だけでなく、思考力や表現力など多方面にわたる力を養う必要があります。この記事では、これらの力を効率よく身につけるための対策方法をアドバイスします。皆様のお力になれば幸いです。

適性検査の概要

そもそも公立中高一貫校の適性検査とはどういったものなのか?詳しくご説明していきます。

適性検査とは

適性検査は一般的な学力試験(国語・算数・理科・社会など)とは異なり、生徒の「読解力」をベースに、「論理的思考力」「表現力」「問題解決力」などを総合的に判断することを目的としています。小学校で学習する内容以上のものは出題されることはありませんが、出題方法が独特なため、「小学校の学習内容を暗記をしていれば合格できる」というものではありません。そのため、私立中学入試とは少し異なる勉強方法が必要になります。

主な形式

適性検査にも種類があり、主に以下の内容が当てはまります。

適性検査I(文章・資料読解中心)主に国語的な要素を含む問題で、論理的思考力や表現力を重視します。

適性検査II(数理的思考中心)算数や理科的な要素を含む問題で、数値の処理や論理的な計算力が問われます。

適性検査III(総合型問題)は学校によりますが、文章、資料、データを組み合わせた複合的な問題が出題されます。

※学校により名称が違う場合もありますのでご注意ください。

私立中学の受験と比較して、記述式の問題が多い傾向です。

適性検査で必要な力

適性検査で求められる能力は多岐にわたります。以下では、適性検査で求められる主要な力について詳しく解説していきます。

読解力

適性検査ⅠでもⅡでも、問題文を読み取って、解答していくことに変わりはありません。この読解力が適性検査では合否を分けるカギになります。国語の問題はもちろん、算数・理科・社会系統の問題でも、議論している文の中に問題があり、何を主題として議論しているのか、解決策は何なのかを問われることがありますが、そういった問題を解くときに、この力は大きく役立ちます。

問題を解く際にはまず、何を問われているのかを正確に把握することが重要です。全ての問題を解くベースはこの読解力です。

読解力を高めるためには、日常的に読書習慣をつけることが求められます。豊富な文章に触れることで、言葉に対する感受性が養われ、文章の構造やニュアンスをより深く理解できるようになります。また、記事やニュースなど様々なジャンルの文章を読むことで、異なる文脈や背景に対する理解力も向上します。

加えて、読むだけでなく、文章の分析を通じて、読解力をさらに高めることができます。具体的には、文章を読みながら要約する練習をしたり、登場人物の行動や感情について考察することで、文章の構成や意図を深く理解する力を養います。学校の教科書や過去問、ドリルなどを活用し、問題文の解釈に重点を置いた練習を行うことも効果的です。

論理的思考力

論理的思考力は、適性検査で高得点を狙うために非常に重要で、問題を正確に理解し、正しい結論を導くために必要な力です。多くの問題が複雑な情報を整理し、一貫性のある答えを求める形式になっています。適性検査には因果関係を問う問題や、パズルのような問題があります。これらは知識だけでなく、論理を駆使して解答を導く必要があります

文章題を解く際にも条件を正確に把握し、手順を追って解答を導くために必要な力です。図形問題では様々なパターンを試行錯誤する力が求められるでしょう。適性検査の過去問や模試に繰り返し取り組むことで、論理的に考えるためのヒントをどんどん蓄積していきましょう。

時間をかけてでもこの力を伸ばすことで、試験全般において高得点を狙うことができるようになります。

表現力・創造力

表現力とは自身の考えや感情を伝える能力であり、作文や面接での回答において高く評価されます。相手にわかりやすく伝える力とも言えます。表現力を鍛えるためには、読解力同様、日頃から読書や自分の意見をまとめる練習を怠らないことが大事です。

適性検査の作文問題は多くの受験生がつまづく難問ですが、合否に直結するほど重要です。テーマに対して自分の考えを筋道立てて整理し、豊富な言葉で具体的に表現することを求められます。

創造力は問題解決において新しい視点やアイデアを生み出す能力を示します。限られた情報や状況下で柔軟な思考が求められるため、日常的に創造力を鍛えることが重要です。例えば、自由記述や作文の問題では独自の視点やアイデアを盛り込むことが求められます。

幼少のころから、様々な経験をさせておくことが想像力を養うことにつながるかもしれません。世の中の様々な時事問題からちょっとした小学校の出来事まで、自分ならどう解決するかを考えさせるのもいいでしょう。

表現力と創造力を合わせて作文力と言ってもいいくらいに、記述、作文問題には特に重要な力です。

記述、作文問題では、長文でわかりにくい回答よりも、要点を簡潔にまとめたものが評価されます。例えば「あなたの意見を述べなさい」という問題に対しては、主張を一文で述べ、その理由を二、三文で補足する形式が有効です。これにより採点者にとって読みやすく、評価しやすい回答となります。

回答の構成を考える際には、主張、理由、具体例の順番で書くとわかりやすくなります。

また、答案を書く際には、適切な言葉を選んで簡潔に表現することも大切です。冗長な表現や不要な情報は避け、核心に触れる内容をまとめる演習を繰り返すことで記述力が向上します。

最後に、回答後は必ずチェックを行ってください。誤字脱字や文法のミス、また論理の飛躍がないかを確認することで、評価を下げる要因を減らすことができます。普段から記述問題に取り組む際にはこのようなチェックを習慣化しておきましょう。

問題解決力

与えられた課題や障害を的確に認識し、効果的な解決策を見つける力です。この能力は、学習だけでなく、日常生活や将来の職業においても非常に役立ちます。例えば、適性検査では表、グラフ、図解を分析し、そこから解決策を導くような問題が多く出題されます。論理的に問いに答え、的確な結論を出す力が必要とされます。

資料がどのような形式で提示されているかを理解することも重要です。資料には様々な形式があり、それぞれに適した読み取り方があります。表と文章の複合的なグラフを読み取らなければならない場合もあり、解答するためには慣れが必要でしょう。

日頃から様々な形式の資料に触れ、読み取り練習を重ねることが重要です。いくつかの異なる形式の資料やデータを組み合わせて一つの結論を導き出す練習を繰り返すことで、資料読み取りのスキルは確実に向上します。

適切な教材の選定や模擬試験の活用が効果的です。適性検査の過去問や解説付きの問題集を利用することで、出題形式や傾向に慣れることができます。また、模擬試験で実際の試験形式に近い状況下で練習することで、本番でのパフォーマンス向上にも繋がります。

適性検査対策

適性検査は中学受験において重要な役割を果たします。適切な対策を行うことで、受験生は自信を持って試験に臨むことができます。ここでは、適性検査対策について解説します。

徹底的に基礎学力をつける

基礎学力を強化することは適性検査対策の基本です。基礎学力がしっかりしていれば、応用力も難解な問題を解くための発想力も自然と身につきます。

算数については「計算ドリル」などを使用して、計算力をどんどん向上させていきましょう。そうしないと応用問題にも対応できません。国語は、漢字や語彙力を強化しましょう。漢字の読み書きや語彙力が不足していると、読解問題や作文で正確な理解や表現が難しくなります。「漢字ドリル」や「語彙ノート」のようなテキストを活用することで、短期間でも効果的に力をつけることができます。国語の成績アップだけでなく、他教科の文章問題の理解力向上にもつながりますので非常に重要だと言えるでしょう。

過去問を活用する

適性検査の対策として、過去問を積極的に活用することが重要です。実際の出題傾向や問題形式に慣れることで、本番でも落ち着いて取り組むことができるからです。過去問を解くことで、どの範囲がよく出題されるかを把握し、対策を立てることができます。また、時間配分の練習にもなります。志望校だけでなく、偏差値や、出題傾向の近い他校の適性検査問題を解くのも、受験本番に向けた演習として役立つでしょう。

基礎学力を早いうちに身に着けておいて、適性検査問題に慣れるために早めに過去問に取り掛かれるようにしておくことをおすすめします。

適切な教材を選ぶ

教材の選び方は、中学受験対策において非常に重要です。目的に合った教材を選ぶことで、効果的な学習が可能になります。教材はその内容や難易度によって学習の成果に直結します。不適切な教材を使用すると、理解が進まずに時間だけが浪費されることもあるため、慎重な選定が求められます。

公立中高一貫校受験向けのテキストと、私立中学受験向けのテキストの内容は異なる部分が多いため、しっかり内容を確認して選びましょう。

ただ、基本的な部分の学習については変わりありませんので、小学校低学年~4・5年生までは基本問題集のような基本を固めるテキスト、5年生~6年生は公立中高一貫校受験向けのテキスト、のように使い分けるのも良いでしょう。

適性検査模試に参加する

適性検査の模擬試験を定期的に受けることで時間配分や問題解決の速さ、正確さを身に着けることができます。どの問題にどれだけの時間を割くべきかを練習することで、時間切れになることを防ぐことができます。また、模擬試験後のフィードバックを活用して、弱点を明確にし、次の目標を設定することができます。

首都圏にお住まいの方で、どの模試に参加したらいいか知りたいという方は以下の記事を参考にしてみてください。

首都圏の中学受験向け模擬試験16選! 実施日程(実施月)も一挙紹介

公立中高一貫校対策ができる塾を探す

中学受験は険しい道のりです。お子様だけの力では合格までたどり着くのは難しいでしょう。教育のプロである塾を探してあげることも必要かもしれません。

塾にも様々な形態があります。お子様に合った塾を選ぶ必要がありますが、公立中高一貫校の受験対策ができる塾を選んであげないといけません。多様な塾形態の中から、適切な場所を見つけましょう。

集合塾

学校と同じように講師対多数の生徒で授業を行い、授業の進度も比較的早く、学習範囲を効率的にカバーできます。同じ状況の生徒と切磋琢磨してモチベーションが上がりやすいですが、友人が多い環境なら集中力が削がれてしまうこともあります。

基本的な学力を養うには良い環境ですが、公立中高一貫校の適性検査対策を行うコースが無い塾もあります。注意しましょう。

個別指導塾

講師対少数生徒、もしくはマンツーマン授業なので、苦手な単元をコツコツつぶしていくなど丁寧なフォローが期待できますが、その分授業のペースは遅くなりがちになります。

適性検査対策ができる講師がいるか、必ず確認しておきましょう。その塾の合格実績も見ておいた方が良いかもしれません。

家庭教師

講師が自宅に来てくれるので通塾時間の削減ができ、マンツーマン授業が基本なので、きめ細やかな授業が受けられます。ただ、住んでいる場所によっては講師が来れなかったり、高額になってしまうケースもあります。

適性検査対策ができる講師が自宅に来れるか、必ず確認しておきましょう。

オンライン家庭教師

家庭教師のメリットを受けながら、講師が全国から選定できます。志望校のレベルや、出身学校の講師を選んで授業してもらえることもあるでしょう。ただオンラインなので、講師が近くにいないと集中できない生徒には不向きかもしれません。

公立中高一貫校対策にオンライン家庭教師をおすすめする理由

公立中高一貫校の適性検査対策には、「オンライン家庭教師」をおすすめしています。その理由を以下に記載していますので、ぜひお子様の状況と当てはめてご検討ください。

マンツーマンでディスカッションしながら授業・面接対策ができる

適性検査では、思考力や表現力が問われます。「この問題文は何が言いたいのかな?」「そう思った理由は何?」など、講師からの質問に丁寧に考えながら答えていくことで、この力を養っていくことができるのです。

この授業の延長線上に面接対策があります。自分の志望理由や、中学校でやりたいこと、どんな中学生になりたいかなどディスカッションしながら面接対策もできるのです。

面接の模擬試験もできますので、適性検査対策だけではなく総合的に公立中高一貫校対策ができます。

志望する公立中高一貫校に強い講師を探しやすい

地元の塾に通う場合、必ずしも志望する公立中高一貫校への合格実績がある講師がいるとは限りません。

オンライン家庭教師であれば、全国から志望校出身の講師や、志望校への合格実績豊富な講師を探してマッチングしてもらえます。教え方があわない場合も相性の良い講師を探しやすいです。

受験直前期の過去問指導でも、対応できる講師が専任していると安心です。面接指導もしてくれる講師が全国に在籍しているので、見つけやすいこともメリットですね。

習い事を両立しやすい

習い事も小学校生活においてはとても重要です。この経験が適性検査の作文や面接に役立つ場合があるからです。

オンライン家庭教師は、インターネット上の映像通話システムで授業を行うため、自宅でも受講できます。通塾の必要がなく、学習の負担を最小限に抑えられます。習い事に疲れて塾に向かう気力が出ないといった事態も防ぎやすいです。

受験勉強に専念しながらも、習い事を両立したい場合には特に、オンライン家庭教師がおすすめです。

まとめ

公立中高一貫校の「適性検査」は、私立中学入試の学力試験とは異なり、「思考力」「表現力」「問題解決力」を測ることに特化した試験形式です。学力だけでなく、読解力をベースにした総合的な力が求められるため、幅広いスキルをバランスよく鍛える必要があります。

対策することは多岐にわたりますが、保護者のサポートで合格まで導いてあげましょう。難しいと感じたなら、塾や家庭教師の利用も検討し、適性検査対策が可能な場所を見つけてあげることも考えてみてください。

「オンライン家庭教師」は公立中高一貫校受験にピッタリの学習形態です。もちろん弊社サービスの「Axisのオンライン家庭教師」は上記のメリットに当てはまります。体験授業を実施しておりますので、お気軽にご参加ください。