高卒認定とは?メリット・デメリットや難易度、勉強法などを解説!

高卒認定は高校を卒業していない人が人生の選択肢を広げるための試験制度です。認定取得を目指すべきか迷っている方も多いでしょう。今回は高卒認定の概要をはじめ、メリット・デメリット、難易度、勉強法などを解説します。高卒認定の取得を検討している方はぜひ参考にしてみてください。

高卒認定とは?

高卒認定とは、高校を卒業していない人が、高校を卒業した人と同等以上の学力があると認定されることです。高等学校卒業程度認定試験に合格すると高卒認定が得られます。

高卒認定の目的や歴史、高卒資格との違いなどについて解説します。

目的・歴史

高卒認定試験実施の目的は、高校を中退した人や不登校だった人、そのほかさまざまな事情で高校に通うのが難しい人などについて、学力を適切に評価できるようにすることです。

昔は大学入学資格検定(大検)として実施されていましたが、2005年からは名称が変更されました。中学卒業などの受験資格も不要となり、受験年度の3月31日までに満16歳となる方であれば受験できるようになっています。

高卒資格との違い

高卒認定は高卒資格(高等学校卒業資格)とは別の認定区分です。高校を卒業した人と同等以上の学力があることを証明できる一方で、高校を卒業したことは証明できません。その一方で高卒資格は、全日制・定時制・通信制のいずれかの高校を卒業したことを証明できます。

高卒認定の場合だと最終学歴は中卒となり、履歴書には「高等学校卒業程度認定試験合格」と記載します。最終学歴が高卒であることを伝えるには、あくまで高校を卒業しなければなりません。

高卒認定を取得するメリット・デメリット

高卒認定を目指すか迷うのであれば、メリット・デメリットを把握してみましょう。高卒認定を取得するメリット・デメリットを解説します。

メリット:進学・就職の幅が広がる

高卒認定を取得すると、国公立や私立の大学、短大、専門学校も受験できるようになり、進学の選択肢が広がります。

就職や各種資格試験で認定を活用することも可能です。公務員試験や国家試験などの受験も可能になるため、就職の選択肢も広がります。進路の選択肢を増やすことで、将来の可能性を広げることが可能です。

デメリット:学歴として扱われない

高卒認定は、高校を卒業した場合のように学歴として扱われません。

一般的な就職試験では資格よりも学歴を重視した選考が行われやすいです。

その点、高卒認定は学歴を更新する手段にはなりません。最終学歴が中卒のままとなり、高卒以上を条件とする求人に申し込めないリスクがあります。

高卒認定試験に必要な受験知識

高卒認定試験の受験を検討するのに必要な受験知識として、出願資格や必要書類、試験日程、出願期間、受験料、試験科目などを解説します。

出願資格

受験年度内に16歳以上になる大学入学資格がない人が対象となっています。

高校や中等教育学校、高等専門学校、専修学校高等課程などを卒業していないことが条件です。

中卒の方や高校を中退した方、高校には在学しているが通学していない方などが受験できます。

必要書類

高卒認定試験の主な必要書類は下記の通りです。

■受験願書・履歴書

■受験料(収入印紙)

■写真2枚(縦4cm×横3cm)

■住民票または戸籍抄本(原本)

■科目合格通知書(原本)

■試験科目の一部免除に必要な書類(単位習得証明書、技能審査の合格証明書)

など

受験者の状況によって必要書類は変わります。正確な必要書類は文部科学省の出願書類フローチャートで確認が必要です。

参照:出願書類フローチャート(文部科学省)

試験日程・出願期間

高卒認定試験は年に2回実施されます。令和7年度高卒認定試験の日程等は下記の通りです。

【第1回】

受験案内 令和7年4月7日(月)配布開始
出願期間 令和7年4月7日(月)~5月14日(水)

※5月14日の消印有効

受験票発送 令和7年6月下旬頃
試験日 令和7年8月7日(木)、8月8日(金)
結果通知 令和7年9月2日(火)発送

【第2回】

受験案内 令和7年7月22日(火)配布開始
出願期間 令和7年7月22日(火)~9月12日(金)

※9月12日の消印有効

受験票発送 令和7年10月下旬頃
試験日 令和7年11月8日(土)、11月9日(日)
結果通知 令和7年12月9日(火)発送

受験料

高卒認定試験の受験料は下記の通りです。

7科目以上受験 8,500円
4科目以上6科目以下受験 6,500円
3科目以下受験 4,500円

受験科目数に応じた収入印紙を出願書類の所定欄に添付して提出する必要があります。

試験科目

高卒認定試験における試験科目は令和8年度第1回試験から変更されます。ほとんどが必修科目であり、理科のみ選択科目となっています。必修科目と選択科目は下記の通りです。

必修科目

高卒認定試験の必修科目は下記の通りです。

教科 科目
国語 国語
地理歴史 地理
歴史
公民 公共
数学 数学
英語 英語
情報 情報

あらたに情報の科目が追加されている点がこれまでの試験との大きな違いです。

選択科目

高卒認定試験の選択科目は下記の通りです。

教科 科目
理科 科学と人間生活
物理基礎
化学基礎
生物基礎
地学基礎

理科はすべての科目を受験するわけではなく、下記の2つのパターンになるように受験科目を選択します。

①「科学と人間生活」の1科目および「基礎」を付した科目のうちから1科目(合計2科目)

②「基礎」を付した科目のうちから3科目(合計3科目)

既修得単位や資格取得などによる科目免除の条件

高卒認定試験は過去の学習成果によって試験科目を免除できるケースもあります。

免除条件を満たせる可能性がある方は下記の通りです。

・高校や中等教育学校などに通っていた人

・高等専門学校に通っていた人

・文部科学大臣が指定した専修学校の高等課程に通っていた人

・英検や数検、歴検などの資格を持っている人

条件の詳細は文部科学省のホームページで確認できます。

参照:免除要件(文部科学省)

高卒認定試験の合格点・合格率・難易度

高卒認定試験の合格点は正式に発表されていません。

目安としては、各科目で100点満点中50点を獲得できれば合格できるといわれています。

令和7年度の受験者数は8,493名で、合格者は3,992名でした。合格率は47.0%となっています。

令和7年度の結果を見る限りは、半数近くが合格できる試験となっており、決して難しい試験ではないとわかるでしょう。

中学の教科書レベルで十分対応できる問題もあり、人によっては想定していたより簡単に感じる人もいるようです。

参照:出願者、受験者及び合格者の状況(文部科学省)

高卒認定試験の採点方法

高卒認定試験の採点方法はマークシート方式です。基本的に答えが選択肢として用意されており、正しい記号を塗りつぶすことで解答します。

ただし、数学のみマークシートの使い方が異なる点に注意が必要です。

選択肢から正解を選ぶのではなく、正解になるように記号や数字を組み合わせて選びます。たとえば、「アイ」が-5となるように解答したい場合は、アを「-」、イを「5」としてマークシートを塗りつぶします。

解答の仕方に迷わないように過去問に取り組み慣れておきましょう。

高卒認定試験を受験したあとの進路

高卒認定試験を受験したあとの進路は主に進学と就職に分かれます。それぞれの進路について解説します。

進学

高卒認定試験に合格したあとの進路としては、大学や短大、専門学校に進学するパターンを検討できます。

進学の例として、高校に馴染めず退学してしまった方が、高卒認定試験に合格してから超難関大学にも合格するケースがあります。

思いもよらない人生が待っているかもしれません。進学を諦めてしまった方は高卒認定試験の受験を検討してみるとよいでしょう。

中学で不登校や長期欠席が続いてしまっている場合に高校受験ができるか気になった方は下記の記事をお読みください。

不登校や長期欠席でも高校受験はできる? 進学率が低い理由や学習面の対応を解説!

就職

高卒認定試験に合格するとさまざまな採用試験を受けられるようになります。

たとえば、国家公務員採用一般職試験や税務職員採用試験、気象大学校学生採用試験、衆議院事務局職員採用衛視試験などを受験可能です。

国に関する仕事に携わりたい方であれば、高卒認定試験が就職の道を切り開くきっかけになるかもしれません。

高卒認定試験の勉強法

高卒認定試験の勉強方法は主に独学と塾・予備校などに分かれます。それぞれの勉強方法について解説します。

独学

独学では、基本的に参考書や問題集で学び、過去問に挑戦します。過去問の傾向を分析して頻出問題を見極め、確実に合格ラインの得点獲得に必要なテーマ、克服すべき弱点などに勉強時間を割きましょう。

参考書や問題集、過去問の学習費用は塾に通うよりも安いです。たとえば、高卒認定の過去問は主要3科目分を2,000円程度で購入できますし、文部科学省のサイトで問題と解答を確認することもできます。

ただ、独学でモチベーションを維持するのは人によって難しく、途中で挫折しない仕組みを作ることも重要になります。

参照:解答・過去問題(文部科学省)

塾・予備校

塾や予備校では講師が学習管理を行ってくれるため、モチベーションを維持しやすく学習習慣も安定します。講師から教えてもらったことを必ず復習して、自力で問題を解けるまで解答プロセスを頭に定着させることが重要です。

毎月授業料の支払いが発生するため、独学よりも料金が高くなりやすいです。たとえば、1回あたりの授業料が4,000円を超える塾もあります。

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高卒認定に関するよくある質問

高卒認定について理解を深めていただけたのではないでしょうか。引き続き、高卒認定に関するよくある質問に回答します。

Q1. 高卒認定試験に年齢制限はある?

A1.受験する年度の終わりまでに満16歳以上になる方でなければ受験できません。

上限は特に定められていないので、大人も問題なく受験できます。

たとえば、40歳を超えている親御さんが受験するケースなども珍しくありません。

基本的には年齢制限で受験できずに困ることはないでしょう。

Q2.高卒認定試験の科目合格は次年度以降も有効?

A2.有効です。

一度合格した科目は記録に残る仕組みとなっており、有効期間も定められていません。

なお、高卒認定試験は年に2回試験があります。

1回目に5科目を受験して、残りを2回目に受験するという戦略を練ることも可能です。

対策が間に合わない方は複数回の受験で合格を目指すのもよいでしょう。

Q3.出題範囲はどれくらい?どんな参考書が必要?

A3.出題範囲に対応する教科書のみが文部科学省から公表されています。

公式サイトでは、いずれの科目も令和4年4月以降の高校入学者が使用している教科書が出題範囲に対応するとしています。

参考書としては、「高卒認定ワークブック」というシリーズが、基礎から無駄なく効率的に勉強できると、世間の利用者から評判になっています。選択肢として検討してみるとよいでしょう。

まとめ

高卒認定試験の合格によって学歴を変えることはできませんが、大学や採用試験などの受験ルートを切り開くことができます。

決して難しい試験ではないため、努力次第で合格できる可能性も高いです。ただ、誤った方法で独学すると不合格になるリスクも高まります。

できれば教育の専門家に学習カリキュラムを提案してもらうのがおすすめです。

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