大学入試において、帰国子女の皆さんが利用できる帰国生枠の一般的な条件は以下の通りです。
① 海外の学校に最終学年を含み2年以上継続して在籍している
② 海外の外国の高校を卒業、または卒業見込みである
※大学により条件が多岐にわたります。
上記に合わせて、帰国後の日本国内高校の在籍の可否や、卒業後の経過期間、外国(滞在国)の大学入学資格を取得しているかどうかなど、受験資格は学校によって違いがあります。
その条件に当てはまる方は、帰国生枠を設けている大学入試ができますが、志望校をどうやって選んだらいいか、入試対策はどうしたらいいかがわからないことも多いかと思います。
この記事が、帰国生大学入試の理解を深めるお力になれたら幸いです。
ぜひご一読ください。
目次
志望校の選定
受験する本人が学問のどの分野に関心があるかが、志望校を選ぶうえで重要になります。あわせて、選んだ分野を学んだ先の進路についても深く考えておくことをおすすめしています。
なぜその志望校を選んだのか、何を学んで自分自身がどうなりたいのかがはっきりしていると、入試において志望理由書などの書類や、小論文を書く際に役に立つからです。
ただ、なかなかすぐには答えが出せないとも思います。そんな方へのおすすめの志望校選びは以下の通りです。
志望校の情報収集
学校のHPをチェックする
- 自分が学びたい学部・学科があるかを確認しておきましょう。
- 入試の日程を確認しておきましょう。在籍している学校の卒業時期によって入試が受けられない、ということを避けるためです。
- 資料請求が可能なら取り寄せておくと便利です。
オープンキャンパスに参加する(一時帰国・もしくは帰国しているなら特におすすめ)
- 学校や、生徒の雰囲気を直接感じられます。
- 実際に通学したときの交通手段を使って行ってみてください。通いやすいかどうかが良くわかります。下宿、一人暮らし予定ならその周辺の環境も見ておきましょう。
- カリキュラムや、部活・サークルの実態など、より詳しい情報が手に入ります。質問対応の機会があった場合は、積極的に質問をしてみてください。
帰国生入試に詳しい学習塾に話を聞く
- 過去の帰国生入試をした生徒の経験をもとに、アドバイスがもらえる塾もあります。学習相談を受け付けている塾がほとんどですので、積極的に活用してみましょう。
- 帰国生入試に詳しい塾は、入試対策も行ってもらえます。ただ、学科試験以外の対策(小論文や面接対策)が必要になるケースが多いので、対策が可能かどうかは確認しておきましょう。
受験対策
受験傾向と対策
志望校を選ぶ際に、学部・学科のカリキュラム内容と並行して、受験日程や試験内容やどの英語資格(英検、TOEIC、TOEFLなど)が必要かも確認しておきましょう。
大学の帰国生枠の入試は中学受験とも高校受験とも大きく異なります。しっかり準備ができるよう早めに入試までの時間を逆算して、志望校対策を進めていきましょう。
帰国生入試
帰国生入試は大きく次の3つの形態に分かれます。
①現地成績重視型
海外の学校成績を重視する入試形態です。学科試験が無く、書類選考での入試になります。
ただし、SAT Reasoning Test(アメリカ合衆国)、GCE Advanced Level(イギリス)や国際バカロレア(IB)などの国家統一試験の結果が求められるので注意が必要です。
対策:国家統一試験は滞在国の教育制度に準じて提出書類が異なります。しっかり確認したうえで滞在国の制度に基づいた学習を進めましょう。
②入試成績重視型
各大学が実施する入学試験を重視した入試形態です。小論文と面接を課す大学が多い傾向です。
対策:小論文は文章の書き方の基本から学んで、自分の言葉で問いに答えられるように何回も書く練習をすることが大事です。添削できる人に必ず書いた小論文を見てもらいましょう。面接については志望理由書を完成させて、その内容を軸にしっかりと話せるように練習しましょう。
③折衷型
①・②の複合型の入試形態です。東京大学、京都大学など最難関の大学が採用しています。小論文、面接以外に一般入試の問題が一部課される大学もあるので難易度は高い傾向です。
対策:①・②の対策はもちろん、一般入試の問題が課される場合は、過去問と類題を使って必要な科目を演習しましょう。
総合型選抜入試
帰国生を主に対象としている総合型選抜入試です。グローバル社会で活躍できる人材を育てる学部で採用されているケースが多く、4月入学だけでなく、9月入学の枠がある大学もあります。主に日本の高校出身者対象の総合型選抜入試もありますが、評定平均を問われる場合は日本の高校に所属していないと受験できない可能性もあるので確認しておきましょう。
対策:帰国生入試の入試成績重視型と同様に、小論文は文章の書き方の基本から学んで、自分の言葉で問いに答えられるように何回も書く練習をすることが大事です。添削できる人に必ず書いた小論文を見てもらいましょう。面接については志望理由書を完成させて、その内容を軸にしっかりと話せるように練習しましょう。
帰国生入試・総合型選抜入試(帰国生対象)小論文過去問
東京大学:2023年度外国学校卒業学生特別選考小論文問題(第2種)文科一類
(注意)2時間30分・解答は、A・Bそれぞれ解答用紙1枚で解答すること。
日本語で回答する問題
人々の行動変容を目的としてルールを設ける際、明確な禁止や義務付けではなく「~する・~しないよう努めるものとする」といった文言を掲げるにとどめることがある。こうしたいわゆる「努力義務規定」につき、(1) ルール定立者が努力義務規定を選択するのはどのような場合か、(2) 努力義務規定であっても実際の行動変容がもたらされるのはどのような場合か、具体例を挙げながら、あなたの考えを説明しなさい。
出願時に選択した日本語以外の言語で解答する問題
立法・政策決定において、将来世代の利益・権利が優先的に考慮されるべきであるとの見解について、2つ以上の具体例を挙げつつ論評しなさい。 この見解をあなたが支持するとしないとに関わらず、将来世代の利益・権利が考慮された立法・政策決定が行われるために、どのような方法があり得るかを検討しなさい。
●日本語・日本語以外の言語で書く必要があります。テーマを提示されて、そのテーマに沿った内容を自分の言葉で読み手に伝わるように書かなくてはなりません。文科一類の入試問題なので、法・政治関連のニュースを見て、その問題を解決するためにはどうしたらいいのかを考えるといいでしょう。
早稲田大学:2024年度 帰国生・外国学生入試 共通試験 小論文A問6
(省略)インターネット上の情報をそのままレポートにするのはどうして問題があるのか、インターネット上の情報をレポートに記載する際には、どのようなことに注意するべきか、関連する表を適切に引用しながら自分の考えを10行以上で述べるとともに、自分の考えに20字以内のタイトルをつけなさい。
●資料を正確に読み解きながら、その内容から逸脱しないように自分の考えを書く問題です。その資料が何を訴えたいのかを把握することができれば、あとは具体的に自分の考えを形にしましょう。そこまでできれば、書いた内容の要約としてタイトルをつけることができるはずです。類題で繰り返し練習するといいでしょう。
各大学の入試問題は年度によって形式が変わる場合があります。来年も同じ形式で出題されるとは限りませんのでご注意ください。
まとめ
帰国生大学入試についての理解を深めるお手伝いができたでしょうか?
帰国生入試に向けて考えることは数多くあり、この記事はあくまでその一端にすぎません。年度が変われば方針も変わりますので、各学校のHPなどを随時ご確認ください。
ただ、自分だけで知識を得ようとしても限界はあります。ぜひ、いろんな方を頼ってみてください。帰国生入試で大学受験をした経験者や学習塾など、アドバイスをもらえるところは意外と多いです。
海外在住中の方や、帰国しても近くに学習塾が無い、という方はオンラインの学習塾をおすすめします。
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