プラスチックの種類とは? PETやPSなどの特徴、用途、見分け方を解説!【実験動画・入試問題も掲載】

ペットボトルはボトル・ラベル・キャップなどに分けられますよね。すべて同じプラスチックのように見えて、実は種類が異なります。

プラスチックの種類を理解しておかないと、ゴミを分別する意味が理解できず、社会に迷惑をかける恐れがあります。プラスチックの種類は一般常識として理解しておくことが大切です。

今回はプラスチックの種類ごとに特徴や用途を解説するとともに見分け方も紹介します。プラスチックの種類に関する中学入試問題も掲載してみたので、生徒さんも親御さんもぜひ挑戦してみてくださいね!

プラスチックの種類

プラスチックは一般的に石油から生まれた合成樹脂をさします。私たちが身近に利用しているプラスチックには、どのような種類があるのでしょうか。早速、プラスチックの種類について特徴と用途を含めて解説します。

ポリエチレンテレフタラート(PET)

ポリエチレンテレフタラートは、石油から生成されるテレフタル酸とエチレングリコールを原料として高温・高真空下で化学反応させた樹脂です。

【特徴】

ポリエチレンテレフタラートは、薄いフィルムや厚みのある板、曲線で成り立つ円柱形など、さまざまな形に加工できます。厚みが薄ければ人の握力でも形状が変化するので、形状維持が必要な用途には不向きです。-60℃程度の耐寒性も持っています。

【用途】

・ボトル
・たまごパック
・フィルム
・ワイパー
・フリース
・磁気テープ

ポリスチレン(PS)

ポリスチレンは、原油から生成されるナフサ(ガソリンに似た透明な液体)を原料としたスチレンモノマーを重合させて生成したプラスチックです。

【特徴】

汎用ポリスチレンは透明性が高くて硬いです。炭化水素ガスを練り込んで成形した発泡ポリスチレンは空気層によって断熱性が向上します。ゴムが配合されたポリスチレンは、汎用ポリスチレンの5~10倍の耐衝撃性を持ちますが、透明性が失われます。

【用途】

・ラベル
・プラモデル
・梱包緩衝材
・カップラーメンの容器
・食品トレイ
・プリンのケース
・乳酸飲料容器
・ヨーグルト容器

ポリプロピレン(PP)

ポリプロピレンとは、ナフサの分解精製から得るプロピレンで生産するプラスチックです。

【特徴】

耐熱温度が比較的高く、約120℃まで使用できるため、電子レンジの加熱に耐えられます。直射日光(に含まれる紫外線)の影響を受けやすく、白く劣化することがあります。

【用途】

・ストロー
・キャップ
・衣装ケース
・電子レンジ用食品トレイ
・DVDケース
・お菓子の包装
・コップ

ポリ塩化ビニル(PVC)

ポリ塩化ビニルは、食塩と石油を原料としたプラスチックです。割合は食塩分が約6割、石油分が約4割です。

【特徴】

無尽蔵の食塩を原料としていて、長寿命でリサイクル性に優れています。素材の原価が安く、大きさに関わらず製品を安く製造しやすいです。耐熱性は低く、約80℃を超えると形状が変化する恐れがあります。

【用途】

・電線の被膜
・ビニールシート
・クレジットカード
・水道管
・看板

アクリル樹脂(PMMA)

アクリル樹脂は、アクリル酸エステルやメタクリル酸エステルを重合して生成するプラスチックです。

【特徴】

プラスチックの中でも特に透明性に優れており、ガラスの代替材料として用いるのに適しています。ガラスと比較して、割れにくく加工しやすく、軽いです。その一方で熱に弱いほか、硬度が低く傷つきやすくなっています。

【用途】

・水槽
・パーテーション
・ショーケース
・光学レンズ
・アクリル釘
・液晶画面材

プラスチックの種類の見分け方

プラスチックにはさまざまな種類があるとおわかりいただけたでしょう。

プラスチックの種類はいろいろな方法で見分けられます。引き続き、プラスチックの代表的な見分け方をいくつか解説します。

異なる種類の液体に浮かべてみる

プラスチックによって密度が異なるため、異なる液体に入れることで浮き沈みの結果が変わり、種類を見分けられます。

たとえば、ポリプロピレンとポリスチレンを水・アルコール水に入れると下記のような結果が得られます。

アルコール水
ポリプロピレン 浮く 浮く
ポリスチレン 沈む 沈む

ポリプロピレン素材は水・アルコール水に浮くのに対して、ポリスチレン素材は水・アルコール水に沈みます。両者が異なる種類であると見分けられるでしょう。

液体に浮かべる見分け方は下記の実験動画で詳しく解説しています。気になる方はぜひ動画を視聴してみてください。

 

【中学入試問題に挑戦!】プラスチックの分類|穎明館中学高等学校2021年

プラスチックを燃焼してみる

プラスチックを燃やすと種類の違いを見分けられます。燃やしたときの燃えやすさや、けむり、発生物などが異なるからです。

たとえば、ポリエチレンテレフタラートとポリスチレンを燃やした結果は下記の通りです。

ポリエチレンテレフタラート ポリスチレン
 燃えやすさ 燃えにくい 燃えやすい
 けむり 少量 黒煙
 発生物 二酸化炭素 二酸化炭素、炭

 

ポリエチレンテレフタレートを燃やすと白い煙が生じる一方で、ポリスチレンを燃やすと黒煙とすすが生じるので、すぐに違いがわかります。

プラスチックを曲げてみる

プラスチックは曲げてみると違いがわかります。

たとえば、ポリ塩化ビニル(硬質)を曲げると割れずに白くなる一方で、アクリル樹脂を曲げると割れます。

手間が少ないですが、素材の形状が変わるので、水に入れる方法のほうが気軽に試しやすいでしょう。

プラスチックの種類に関する入試問題

プラスチックの種類に関する入試問題をピックアップしました。

内容はとてもシンプルです。ゴミを分別する理由がよくわかる問題なので、生徒さんや親御さんはぜひ取り組んでみてください!

問題

ペットボトルのキャップをつけたまま回収すると、次のア~エのような害があります。キャップを外すことで、なぜそれが防げるのか、この中から1つ選び、簡単に説明しなさい。

ア ボトルの中に液体が残っている

イ ボトルを押しつぶすときにけがをすることがある

ウ リサイクル製品の品質が低下する

エ ボトルを輸送するときに車から二酸化炭素がたくさん発生する

出典:穎明館中学高等学校 2021年第1回中学入試問題 大問3 問8

解答

ウ リサイクル製品の品質が低下する を選んだ解答の考え方

ペットボトルのキャップとボトルは違う種類のプラスチックで作られています。

現在推奨されるマテリアルリサイクルとケミカルリサイクルの方法だと、別の種類のプラスチックが混ざると完成した製品の品質が低下します。

その点、キャップを外してボトルと分別すれば、異なる種類のプラスチックの混入を回避できるので、リサイクル製品の品質低下を防ぐことが可能です。

ペットボトルのキャップをつけたまま回収すると、そのほかにも害が発生します。どのような害が発生するのか詳しく知りたい方はぜひ下記の動画をご覧になってください。

【中学入試問題に挑戦!】プラスチックの分類|穎明館中学高等学校2021年

まとめ

今回はプラスチックの種類と見分け方を解説しました。

プラスチックは、電子レンジでも加熱できる「ポリプロピレン」や、透明性に優れた「アクリル樹脂」などの種類があり、それぞれ特徴が異なります。

水に入れたり燃やしたりすることで、種類を見分けることも可能でした。

理科が苦手な生徒さんとその親御さんでも、プラスチックの種類についてよく理解できたのではないでしょうか。

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