2022年4月より高校で「情報Ⅰ」の授業がはじまりました。中間・期末テスト対策のご相談も増えてきています。
そこで今回は、情報Ⅰの内容と中間テスト・期末テストといった定期テスト対策の方法をお伝えします。今後のテスト勉強にぜひご活用ください。
目次
情報Ⅰの内容
情報の授業は、2022年度から急にはじまったように見えますが、実は2003年から行われています。2022年からの情報Ⅰと情報Ⅱは、2021年以前の情報の授業にくらべて内容が増え、より実践的になりました。
この背景には、現在の社会が情報技術をベースに成り立っているという特徴があります。そのため、社会のなかでIT技術がどのように使われているかを知り、どう使えば生活がさらに便利になるかを考え実践できる人材が必要とされています。
「暗記だけでは点数が取れない」「プログラミングが難しい」「共通テストが不安」という人も多いでしょう。
情報Ⅰの定期テストでは、情報社会・情報モラル・情報デザイン・プログラミング・データ活用など幅広い内容が出題されます。そのため、やみくもに勉強するのではなく、単元ごとの特徴を理解して対策することが重要です。
この記事では、中間テスト・期末テストで高得点を取るための勉強法を、分野別に詳しく解説します。
情報Ⅰの評価と定期テストの関係
情報Ⅰでは、多くの高校で次の3つを総合的に評価しています。
①定期テスト
②レポート・課題
③実習・授業態度
この中でも最も大きな割合を占めるのが定期テストです。
学校によって異なりますが、評定の60~80%程度を定期テストが占めるケースも珍しくありません。
情報Ⅰは「パソコンを使えるから大丈夫」と考えがちですが、実際は知識問題や思考力を問う問題も多く出題されるので注意しましょう。
4つの学習テーマ
情報Ⅰは4つの学習テーマからなります。各テーマの学習項目を表にまとめました。
| 学習項目 | 学習の種類 | |
| ①情報社会の問題解決 | 情報社会の特徴 情報モラル・情報リテラシー 個人情報・プライバシー保護 著作権・知的財産権 情報セキュリティ フェイクニュース・情報の信頼性 情報収集・分析・整理 問題発見・課題設定 問題解決のプロセス(PDCA・デザイン思考など) 法律・ルール・倫理 |
知識系 |
| ②コミュニケーションと情報デザイン | メディアの種類と特徴 コミュニケーションの仕組み 情報デザインの基本 ユニバーサルデザイン 配色・色彩の基礎 レイアウトの基本 フォント・文字の使い方 図・グラフ・表の活用 プレゼンテーション資料の作成 効果的な情報発信 |
知識系 |
| ③コンピュータとプログラミング | コンピュータの仕組み ハードウェア・ソフトウェア CPU・メモリ・ストレージ デジタルデータ(2進数・ビット・バイト) 文字コード・画像・音・動画の表現 アルゴリズム フローチャート 変数 条件分岐(if文) 繰り返し(for・while) 配列・リスト 関数 プログラムの作成・デバッグ |
実践系 |
| ④情報通信ネットワークとデータの活用 | インターネットの仕組み LAN・WAN IPアドレス・ドメイン名 Webページの仕組み クラウドサービス 情報セキュリティ対策 データベースの基礎 データの収集・整理 表計算ソフトの活用 グラフの作成 平均値・中央値・最頻値 分散・標準偏差(基礎) 相関関係 データ分析・可視化 データを活用した意思決定 |
実践系 |
高校1年生もしくは2年生で、1年間かけてこの内容を勉強します。
上記の4つの章は、大きく2つの種類にわかれます。「①情報社会の問題解決」と「②情報デザイン」は知識分野で、「③プログラミング」と「④データの活用」はプログラミングの基本技術の実践です。
知識系の章では、情報技術が社会でどのような影響があり、良い部分と気をつける部分は何なのかを教わります。情報技術を活用するにあたって、必ず知っておくべき知識をまず身につけます。
その知識を持ったうえで実践系の範囲に移り、社会における問題の発見・解決のための基本的なプログラミング技術を習得します。
このように、情報Ⅰは2段階の学習段階からなります。各段階で学習内容がわかれるため、学び方も変わります。
個人差がひろがる
「③プログラミング」と「④データの活用」の実践系の範囲は、知識として知っているだけでは使えません。とにかく実践が必要です。実践次第で習得度が大きくかわります。
そして情報技術の実践については、生徒・先生のどちらも「個人差がきわめて大きい」という特徴があります。というのも、ほかの科目と違って、情報技術は日常生活で直接使うからです。日常的に使うので、興味を持って積極的に使いこなしている人もいます。なかには、情報Ⅰの教科書に書いてある範囲の技術をすでに持っている人もいます。
教科書を読んではじめて知る人と、すでに教科書以上の技術を持っている人とでは、実践系の知識・技術で個人差が非常に大きいです。
同じことが学校の先生にも言えます。先生も人間ですから、ITに強い人と強くない人がいます。情報科の免許を持っている先生のなかで、情報科の専任の先生はそもそも2割しかいません。授業を実施する側の先生の知識・技術もまちまちですから、授業を受けて伸びる生徒・伸び悩む生徒の差も生まれるかもしれません。
また、プログラミングを教える時間は非常に短く、情報Ⅰ全体の12分の1程度です。授業時間にすると、6時間程度しかありません。
プログラミング初心者がわずか6時間の授業で、日常的に趣味でプログラミングをしている人に追いつけるかというと、相当難しいはずです。
情報Ⅰでつまずきやすいポイント
多くの高校生が苦手にするのは次の内容です。
プログラミング
中学校までの「ビジュアルプログラミング(ブロックを並べるもの)」から、高校では「テキスト言語(Pythonや共通テスト用手順記述言語など)」にステップアップするため、文法エラーや論理的思考で一気についていけなくなる生徒が増える傾向です。
- 条件分岐
- 繰り返し
- 変数
大学入試センターや大手予備校(河合塾・東進など)の共通テスト模試のデータにおいて、プログラミング問題(特にループ処理や配列を扱う問題)は、問題の難易度が少し上がると正答率が著しく下がる傾向があるようです。
データ分析
「数学Ⅰ」の「データの分析」と重複する内容ですが、情報Ⅰではそれを「コンピュータを使ってどう処理するか」「グラフから何が読み取れるか」という実践的な視点で問われます。
単に公式を覚えるだけでなく、本質的な意味の理解が求められるため、数学が苦手な生徒にとっては大変な単元になるでしょう。
- 箱ひげ図
- 散布図
- 相関係数
- 標準偏差
文部科学省の学習指導要領や、高等学校情報科の教員向け研修資料でも、統計データの解釈や分析は「生徒が主体的・論理的に考える上で障壁になりやすいパート」とされています。
情報セキュリティ
「公開鍵」と「秘密鍵」の仕組みや、「ハッシュ関数」による不可逆なデータ変換など、概念が抽象的で日常で利用する実感が湧きにくいです。
似ている用語(デジタル署名、共通鍵暗号など)が多く、混乱する生徒が多いようです。
- 暗号化
- 認証
- ハッシュ関数
- 公開鍵暗号
情報セキュリティ分野は一見「暗記科目」に見えますが、仕組みの理解を問う応用問題(例:AさんがBさんに秘密のメッセージを送る手順など)は暗記だけでは対応できません。
情報デザイン
一見すると「センスの問題」や「簡単な内容」に思えますが、テストでは「ユニバーサルデザイン」「認知心理学に基づいたルール」として論理的に問われます。
「なぜこのグラフを選ぶべきなのか」「色のアクセントはどう決めるべきか」といった明確な基準を理解していないと、感覚で解いてしまい間違ってしまいます。
- 配色
- グラフの適切な選び方
- レイアウト
共通テストの試作問題や本試験でも、Webサイトのレイアウトやグラフの妥当性を評価させる問題が出題されています。「なんとなく」で選ばないように論理を理解しておきましょう。
共通テスト情報とのつながり
2025年度入試から大学入学共通テストに「情報」が追加されました。
そのため、高校の定期テストも共通テストを意識した問題が増えています。例えば以下のように、単なる暗記では解けない問題も多く出題されます。
・複数資料を比較する問題
・グラフの読み取り
・プログラムの動作予測
・データ分析
日頃から「なぜそうなるのか」を理解しながら学ぶことが重要です。
共通テストの情報については、以下の記事も参考にしてみてください。
情報Ⅰの中間・期末テスト対策

では、どうすれば情報Ⅰの中間・期末テストで高得点を取れるようになるのでしょうか。
前述のように、情報Ⅰは各分野にわかれています。それぞれの分野の特徴にあわせてテスト対策をしましょう。
情報社会分野の定期テスト対策
情報社会分野は、中間テストで最初に出題されることが多い単元です。教科書の内容を正しく理解していれば得点しやすい一方で、似た意味の用語が多いため、曖昧な理解では失点につながります。
まずは基本用語を正確に覚え、その後に実際の事例と結び付けて考える練習を行いましょう。
よく出る重要用語と一問一答レベルの知識
定期テストでは、次のような基本用語が頻繁に出題されます。
| 分野 | 覚えておきたい用語 |
|---|---|
| 個人情報 | 個人情報、要配慮個人情報、匿名加工情報 |
| 知的財産 | 著作権、著作者人格権、著作隣接権、肖像権 |
| ネット社会 | SNS、フェイクニュース、フィルターバブル、エコーチェンバー |
| 情報発信 | 発信者責任、引用、出典、情報リテラシー |
| 法律 | 個人情報保護法、著作権法、不正アクセス禁止法 |
一問一答形式で確認しておくと理解が深まります。
一例ですが、以下のような一問一答に答えられるようにしておきましょう。
Q:著作権は何を保護する権利?
Q:個人情報とはどのような情報?
Q:引用が認められる条件は?
Q:フェイクニュースとは何か?
Q:SNSで情報発信するときに注意すべきことは?
単なる暗記ではなく、「なぜそのルールが必要なのか」を理解することが大切です。
情報モラル・情報セキュリティ分野の定期テスト対策
情報モラル・情報セキュリティは、知識だけでなく、実際の場面でどのように行動すべきかを問う問題が多く出題されます。
ケーススタディ形式の問題にも対応できるよう、用語の意味だけでなく、具体例も理解しておきましょう。
頻出テーマと重要語句の整理
特に出題されやすいテーマは次のとおりです。
・パスワード管理
・二段階認証(多要素認証)
・フィッシング詐欺
・コンピュータウイルス
・マルウェア
・ランサムウェア
・不正アクセス
・暗号化
・公開鍵暗号方式
・共通鍵暗号方式
・ファイアウォール
・VPN
・バックアップ
また、次のような問題もよく出題されます。
・強いパスワードの条件とは
・USBメモリの取り扱いについて
・学校のクラウドサービス利用時の注意点
・SNS投稿時の個人情報管理について
近年は生成AIやディープフェイクなどに関する問題が扱われる学校も増えています。授業で取り上げられた内容は必ず復習しておきましょう。
用語を覚えるときの考え方と覚え方
情報セキュリティの用語は、役割ごとに整理すると覚えやすくなります。
例えば、以下のように分類すると、問題文を読んだときにも判断しやすくなります。「攻撃」と「対策」をセットで覚えることが、高得点への近道です。
「情報を守る技術」:暗号化・認証・バックアップ
「攻撃の種類」:フィッシング・ランサムウェア・マルウェア・不正アクセス
「対策方法」:セキュリティソフト・ファイアウォール・多要素認証・ソフトウェア更新
情報デザイン分野の定期テスト対策
情報デザインは、見やすく分かりやすい情報の伝え方を学ぶ単元です。
「センス」の問題と思われがちですが、実際にはルールに基づいて判断する問題が多く、ポイントを押さえれば得点しやすい分野です。
レイアウト・色使いなどの典型的な出題ポイント
頻出テーマには次のようなものがあります。
・整列(アラインメント)
・強調
・コントラスト
・余白
・配色
・色覚への配慮(ユニバーサルデザイン)
・フォントの選び方
・アイコンの使い方
例えば、「どちらのポスターが見やすいか」「このスライドの改善点はどこか」といった問題が出題されることが多いです。
見た目だけで判断するのではなく、「情報を正確に伝えられるか」という視点で考えることが重要です。
グラフ・図表の読み取り問題への対策
情報デザインでは、適切なグラフを選ぶ問題も頻出です。
代表例は以下のとおりです。
| グラフ | 用途 |
|---|---|
| 棒グラフ | 数値の比較 |
| 折れ線グラフ | 時間による変化 |
| 円グラフ | 全体に占める割合 |
| 散布図 | 2つのデータの関係 |
例えば、「売上の推移」を示すなら折れ線グラフ、「クラスの部活動の割合」を示すなら円グラフが適しています。
また、グラフのタイトルや単位などが適切かを問う問題もあるため、細かな部分まで確認するクセを付けておきましょう。
プログラミング分野の定期テスト対策
プログラミング分野は、情報Ⅰの中でも最も苦手意識を持つ高校生が多い単元です。しかし、定期テストでは出題パターンが比較的決まっているため、基本的な考え方を身に付けて問題演習を繰り返せば、着実に得点できます。
「プログラムを書くこと」だけではなく、「プログラムの動きを読み取る力」が問われることも多いため、コードを見て処理の流れを説明できるようにしておきましょう。
代表的な問題パターン
学校によって使用する教材やプログラミング言語(Python、JavaScript、Scratchなど)は異なりますが、定期テストで出題されやすい内容は共通しています。
順次処理
上から順番に処理を実行する基本的なプログラムです。例としては、計算結果を表示する、入力された数値を表示する、変数へ値を代入する、といったものです。
最初に学ぶ内容なので、確実に理解しておきましょう。
条件分岐(if文)
条件によって処理を変える問題です。例えば、点数が80点以上なら「合格」、偶数なら「Yes」などが典型例です。
テストでは「条件式が正しく書けるか」「プログラムがどのような結果になるか」が問われます。
繰り返し(ループ)
同じ処理を何度も行うプログラムです。代表例は、1~10まで表示する、合計を求める、平均を計算する、などです。
「何回繰り返すのか」「変数がどのように変化するのか」を紙に書きながら確認すると理解しやすくなります。
リスト(配列)
複数のデータをまとめて扱う問題です。例えば、テストの点数一覧、商品価格一覧、生徒名簿、などを扱います。
リストの番号(インデックス)の考え方は、多くの高校生が間違えやすいポイントなので注意しましょう。
アルゴリズム問題の解き方の手順
アルゴリズムとは、「問題を解決するための手順」のことです。テストでは、プログラムを書く前にアルゴリズムを考える問題もよく出題されます。
解き方の基本は次の4ステップです。
① 入力を確認する:何が与えられるのかを整理(例:点数・人数・商品価格)
② 処理を考える:入力されたデータをどのように使うのかを考える(例:合計する・比較する・並べ替える)
③ 出力を確認する:最終的に何を表示するのかを確認(例:合計点・平均点・判定結果)
④ 実際に動きを追う:簡単な数字を代入し、プログラムを一行ずつ追いながら結果を確認
「頭の中だけ」で考えず、変数の値を表にまとめる習慣を付けるとミスが減ります。
プログラミングの記述問題で間違いを減らすコツ
記述問題では、細かなミスによる失点が多く見られます。次の点を意識しましょう。
・条件式を最後まで確認する
・「=」と「==」などの違いに注意する(使用言語による)
・変数名を書き間違えない
・括弧やコロンなどの記号を確認する
・インデント(字下げ)が必要な言語では書き忘れない
また、答えだけでなく「なぜその処理になるのか」を説明できるようにしておくと、応用問題にも対応しやすくなります。
データ活用分野の定期テスト対策
データ活用は、共通テストでも重視されている分野です。教科書の知識だけでなく、グラフや表を読み取り、そこから適切な判断を行う力が求められます。
計算問題もありますが、複雑な計算よりも「データを正しく読み取れるか」が重要です。
統計量・グラフの読み取りで狙われやすい問い
定期テストでは、次の統計量を区別できることが重要です。
| 用語 | 内容 |
|---|---|
| 平均値 | データ全体の平均 |
| 中央値 | 真ん中の値 |
| 最頻値 | 最も多く現れる値 |
| 範囲(レンジ) | 最大値と最小値の差 |
| 四分位数 | データを4等分した位置 |
| 箱ひげ図 | データの分布を表す図 |
例えば、「外れ値の影響を受けにくい統計量はどれか」といった問題では、中央値が適しています。
また、散布図では「相関」がよく問われます。
正の相関・負の相関・相関がないことをグラフから判断できるようにしておきましょう。なお、「相関がある=因果関係がある」ではないことも重要なポイントです。
表計算ソフトの操作問題への対策
表計算ソフト(ExcelやGoogleスプレッドシートなど)の基本操作も定期テストでよく出題されます。主な出題内容は以下のとおりです。
・SUM関数
・AVERAGE関数
・MAX関数
・MIN関数
・COUNT関数
・オートフィル
・並べ替え
・フィルター
・グラフ作成
操作手順を問う問題だけでなく、「どの関数を使えば目的を達成できるか」を選ぶ問題も多くあります。実際にパソコンで操作しながら覚えると、理解が深まりやすくなります。
また、セル参照(A1、B2など)の意味や、相対参照・絶対参照(使用する学校の場合)の違いも確認しておくと安心です。
中間・期末テストでは、生徒間で極力有利不利がないデータ(人口動態や地域の経済活動などのデータ)を使った問題が予想されます。できるだけ試行錯誤してプログラムの構築ルール・活用方法を理解すれば、そうしたなじみの薄いテーマに対しても対応しやすくなります。
まとめ
情報Ⅰは、「暗記だけ」「パソコン操作だけ」で乗り切れる教科ではありません。情報社会のルールを理解する力、データを読み取る力、論理的に考える力など、さまざまな力が求められます。
定期テストで高得点を目指すためには、まず基本用語を確実に身に付け、その上でプログラミングやデータ活用などの演習問題に取り組むことが大切です。また、教科書やノートを復習するだけでなく、学校のワークを繰り返し解き直すことで理解が深まります。
さらに、情報Ⅰは大学入学共通テストともつながる重要な教科です。定期テスト対策を通して基礎を固めておけば、将来の受験勉強にも大きく役立ちます。
計画的な学習を続け、情報Ⅰを得意科目の一つにしていきましょう。
情報Ⅰの学習について相談したい方は、Axisのオンライン家庭教師ホームページよりお問い合わせください。
共通テストの「情報Ⅰ」について知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。






