【2024年版】教育学部の小論文テーマの傾向と対策

近年、大学入試で小論文の重要性が急激に上がっています。そこで、学部系統別にどのようなテーマの小論文が出題されたのかまとめました。今後の大学受験勉強にぜひご活用ください。

2021-2024年度大学入試の教育学部の小論文

教育学は、児童や生徒の成長のためにどのような教育が適切かを学ぶ学問です。幼稚園教諭から高校教諭までの教員養成がメインですが、学校教育だけではありません。家庭でのしつけや企業での人材教育も含まれます。

教育学部の小論文の傾向

学校現場の教員としてどのような指導をするかをテーマにした問題が多かったです。

他には、AIやブラック部活動、ICTの導入、STEAM教育、情報モラルの教育、外国籍児童の受け入れといった、近年話題になっている内容も多く出題されていました。学校現場だけでなく、一般社会との関りを重視した内容が目立つ出題傾向でした。

2021-2024年度入試で出題された小論文のテーマは以下のとおりです。

ここがPOINT
・「わかりやすい指摘」と「困惑する指摘」の特徴について(弘前大学・教育学部・学校教育教員養成課程・初等中等教育専攻・小学校コース)

・どのような「デジタル・シティズンシップ教育」を行うことが大切だと考えるか(秋田大学・教育文化学部・学校教育課程 教育実践コース)

・スポーツにおけるウォーミングアップの重要性、学級崩壊、英語でのディベートへの苦手意識、食を通じた学び(秋田大学・教育文化学部・学校教育課程 教育実践コース)

・子どもの主体的な学び、スマートフォン登場による子どもの生活時間への影響(秋田大学・教育文化学部・学校教育課程 こども発達コース)

・英語学習におけるALTs(秋田大学・教育文化学部・学校教育課程 英語教育コース)

・障害のある子どもとの関り(秋田大学・教育文化学部・学校教育課程 特別支援教育コース)

・子どもの利他行動(福島大学・人間発達文化学類・教育実践コース、心理学・幼児教育コース)

・読解力(弘前大学・教育学部・学校教育教員養成課程・初等中等教育専攻・小学校コース)

・若者の人間関係、ブラック部活動、障害の捉え方(福井大学・教育学部)

・オリンピックの男女別参加状況の推移(福井大学・教育学部・保健体育科)

・全国学力調査の結果の見方と改善のための対応、家事能力の性差認識、振り返りの重要性と思考方法、いじめ防止(富山大学・人間発達科学部・発達教育学科)

・妖怪の捉え方、教師の働き方改革と部活動、子どもの学習環境(富山大学・人間発達科学部・人間環境システム学科)

・「新しい学力観」「ゆとり教育」「アクティブラーニング」課題文を読み、日本の学校教育の説明と想像力の育て方についての意見(富山大学・教育学部)社会人選抜

・音楽関係者や学校関係者がコロナ禍で工夫をしながら行っている音楽表現から1つ取り上げ、関心を持った理由と具体的な内容について記述(福井大学・教育学部・音楽)

・漢文と外来語(群馬大学・共同教育学部・国語専攻)

・個性の尊重などのスローガン多用化による危険性と学校教育(群馬大学・共同教育学部・社会専攻)

・ICTの活用(群馬大学・共同教育学部・保健体育専攻)

・いじめの認知基準(群馬大学・共同教育学部・教育専攻)

・メタ認知と学習活動(群馬大学・共同教育学部・教育心理専攻)

・病気や障害を持つ子どもに寄り添う教師(群馬大学・共同教育学部・特別支援教育専攻)

・現代において「敬語」を使う意味について(茨城大学・教育学部・学校教育教員養成課程 言語・社会教育系 国語選修)

・日本の少子高齢化と人口減少および、それに伴って発生する課題を改善するために進められてきた施策(埼玉大学・教育学部)

・遊びと学び(お茶の水女子大学・文教育学部・人間社会科学科・こども学コース志望)

・STEAM教育(東京大学・文科Ⅲ類)

・教育問題の捉え方(上智大学・総合人間科学部・教育学科)

・ある障害児の例を参考に「なぜ偏食をせず食べられるようになるのか」について論述(山梨大学・教育学部・幼少発達教育コース)

・子どもの環境問題に対する考え方(静岡大学・教育学部)

・情報モラル教育実施について(静岡大学・教育学部)

・AI導入後の子どもへの向き合い方(愛知教育大学・学校教員養成課程)

・対話と鄭和(三重大学・教育学部・国語教育学科)

・小学校の音楽科教育の意義(三重大学・教育学部・音楽教育学科)

・病気や障害を持つ子どもへの向き合い方(三重大学・教育学部・特別支援教育学科)

・教育格差の問題に対して社会はどう対処していけばよいか(大阪教育大学・教育協働学科教育心理科学専攻)

・海外にルーツを持つ子どもの学校教育の課題(立命館大学・産業社会学部)

・外国籍の児童生徒に見られる学校教育の課題、SNSとメディア、学校教育における自然科学の授業の必要性(島根大学・教育学部・学校教育課程Ⅰ類)

・養護教諭としての子どもへの健康教育(岡山大学・教育学部・養護教諭養成課程)

・10年後の小学校教育において期待される変化と、それを実現するための具体的な取り組みについて(教育学部・第一類 初等教育教員養成コース)

・子どもの二極化問題(広島大学・教育学部・第一類・初等教育教員養成コース)

・地域における特別支援学校の防災活動(広島大学・教育学部・第一類・特別支援教育教員養成コース)

・露頭観察の注意点、実験・観察の考察(広島大学・教育学部・第二類・自然系コース)

・日米のボランティア意識の違い(広島大学・教育学部・第二類・社会系コース)

・食べ物と言葉の関係の授業での取り上げ方(広島大学・教育学部・第三類・英語文化系コース)

・勉強の目的、異文化の人への偏見(広島大学・教育学部・第三類・日本語文化系コース)

・中・高年者のスポーツ(広島大学・教育学部・第四類・健康スポーツ系コース)

・音楽教育とウェルビーイング(広島大学・教育学部・第四類・音楽文化系コース)

・美術の授業の好き嫌い(広島大学・教育学部・第四類・造形芸術系コース)

・子どもへの教育的視点(広島大学・教育学部・第五類・教育学系コース)

・伝統とことば(広島大学・教育学部・第Ⅲ類)

・校則(山口大学・教育学部・学校教育教員養成課程)

・「たまにさぼる人間が少しだけいるほうが、かえってクラスの雰囲気はよくなる」という主張への自身の意見(大分大学・教育学部・初等中等教育コース)

・子どもの甘やかしと敬意(大分大学・教育学部・初等中等教育コース)

・特別支援とは(大分大学・教育学部・特別支援教育コース)

・クラスづくり(琉球大学・教育学部・小学校教育コース・学校教育専攻)

・政府の情報公開(琉球大学・教育学部・中学校教育コース・社会科教育専修)

・地域食材を通しての学び(琉球大学・教育学部・中学校教育コース・生活科学教育専修)

・教育の平等性(琉球大学・教育学部・学校教育教員養成課程・小学校教育コース・学校教育専攻)

・人間関係における主体性(琉球大学・教育学部・学校教育教員養成課程・小学校教育コース・教科教育専攻・社会科教育専攻)

・小学校の音楽科の授業における「個に応じた学び」と「協同的な学び」(琉球大学・教育学部・学校教育教員養成課程・小学校教育コース・教科教育専攻・音楽教育専攻)

・「なまり」(方言)の捉え方(九州大学・教育学部)

・将来教員としてどのような健康教育を行っていきたいか(兵庫教育大学・教育学部)

教育学部の小論文の対策

前述のように、2021-2024年度の教育学部の小論文は大きく2種類に分かれていました。

1つ目は「学校現場の教員としての指導」に関する出題で、2つ目は「社会の動向」に即した出題です。

この2つを別々のものではなく、1つの課題として捉えると対策がしやすくなります。つまり、社会の動向に目を向け、それを教育現場でどのように実践するかを考えるようにしましょう。問われているのは、教育への興味と主体者(実践者)としての姿勢です。

言葉にすると難しそうに見えるかもしれませんが、することはシンプルです。社会の動向と言っても、小論文に出題されるテーマは教育に関する内容に限定されています。

教育に関するニュースを見聞きしたら、ネットで調べてみましょう。ネットで知識を仕入れたら、「自分が学校の先生ならどうするか?」を考えてみましょう。

例えばICT教育についてのニュースを見たら、「ICT教育とは」などのように「~とは」と検索します。そうすると、ICT教育の目的は、「何を知っているか」から「何をできるようになるか」への学習の質の向上だということが分かります。

また、具体的な活用例もたくさん出てきます。それを参考に、自分が学校の先生なら授業にどう使ってみたいかをイメージするのです。個人的に興味のある分野と絡めると具体的にイメージしやすくなります。

その際に、「生徒に何を学んで欲しいか/どうなって欲しいか」を明確にして、授業での活用をイメージします。「学ぶ内容(目的)」は必ず言葉にしましょう。漠然としていると、授業での活用イメージにつながらなかったり、先生の独りよがりな授業になってしまったりします。

授業を受けている生徒がどう感じて、その後どういう行動を取るようになるかが大切です。自分が受けている学校での授業風景を思い浮かべると、具体的にイメージしやすくなります。

具体的にイメージできれば、誰かにそのイメージを伝えましょう。

あなたのことを知らない他人に、あなたが何を考えているかを伝えるのが小論文です。言葉にしてみると、自分の描いたイメージを客観的に見ることができます。曖昧な部分に気が付いたり、違う見方や感じ方を知る機会になります。

自分自身で考える時間があるほうが自分なりの考え方を深く形成できます。そのため、誰かに話したり書いたりする機会を定期的に設けると非常に効果的です。

志望大学のアドミッションポリシーを確認しておくことも非常に重要です。どんな学生を求めているのかしっかり理解して、自分の意見を書きましょう。

各大学のアドミッションポリシーを知りたい方は以下を参考にしてみてください。

 

小論文の書き方についてはこちらでも紹介しています。
小論文の書き方 手早く合格を取れる小論文の書き方とは?塾関係者が例文付きで解説!

まとめ

いかがでしょうか。教育学部の小論文のテーマは、教育に直接関係する内容に限定されます。

だからこそ、教育への興味や当事者意識がポイントです。まじめな生徒ほど、授業を「生徒」の立場で受けています。もちろんこの姿勢は賞賛されるものですが、それに加えて、教育学部は「先生側(実践する側)」の姿勢も獲得している学生を求めています。

「想像してみましょう」と言われてすぐに想像できるものでもありませんので、誰かに話す・書く機会を作るようにしましょう。


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