【2024年版】人文科学の小論文 テーマの傾向と対策

近年、大学入試で小論文の重要性が急激に上がっています。そこで、学部系統別にどのようなテーマの小論文が出題されたのかまとめました。今後の大学受験勉強にぜひご活用ください。

2021-2024年度大学入試の人文科学の小論文

人文科学は、人の考え方・行動や、そこから発生した現象を扱う学問です。対象範囲は非常に広いため、たくさんの種類の学部・学科に分かれています。大学によって名前も様々で、
文、社会、人文社会、人間社会、社会科学、生活科学、地域創造、哲学、美術、日本史、世界史、西洋史、東洋史、外国語、情報、情報社会
などの名称の学部・学科があります。

人文科学の小論文の傾向

専攻内容を通して地域や社会の動きを主体的に見ているかどうかを問うテーマが多い学部・学科です。2021~2022年度入試では、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う「人との接触」「スポーツや芸術の意義」をテーマにした小論文や、SDGsをテーマにした小論文が多数見られました。

その後は、ジェンダー、LGBTや、SNSの使い方、SNSを利用したコミュニケーションについても触れている大学が見受けられます。

また、地元の受験生が多い大学と、受験生の出身地が幅広い大学とでテーマに違いがありました。前者は地元に根差したテーマが比較的多く、後者は日本全体で話題になっているテーマや、抽象的なテーマが多く出題されていました。さらにいくつかの大学では、地元に根差したテーマと抽象的なテーマの両方を出題していました。大学のカラーを明確にしたテーマが目立ちます。

直近の入試で出題された小論文のテーマは以下のとおりです。

Check Point
  • 地域の有形文化財(弘前大学・人文社会科学部)
  • 葬墓制の変化について(弘前大学・人文社会科学部)
  • 芸術・スポーツの地域社会に与える影響(岩手大学・人文社会学部)
  • LGBT(岩手大学・人文社会学部)
  • 祭礼行事(富山大学・人文学部)
  • SNSとネット世論(富山大学・人文学部)
  • SDGs、LRTの導入による地方と都市の接続(金沢大学・人間社会学域・地域創造学類)
  • 人のコミュニケーション能力獲得、視点による戦争の捉え方の違い(金沢大学・人間社会学域・人文学類)
  • 思いやり(お茶の水女子大学・文教育学部・人文科学科)
  • 礼拝的価値(お茶の水女子大学・文教育学部・人文科学科)
  • 人間のミス(一橋大学・社会学部)
  • インターネット検索のメリット・デメリット(一橋大学・社会学部)
  • 個人と社会の緊張と対立(慶応義塾大学・法学部)
  • 夫婦別姓(上智大学・総合人間科学部・社会学科)
  • 地域社会における国際化とマイノリティ(静岡大学・人文社会科学部)
  • 共働き社会における結婚と家族(静岡大学・地域創造学環)
  • 地域における学び(和歌山大学・経済学部)
  • 災害やコロナ禍における生活者、ボランティア(鳥取大学・地域学部・地域学科・地域創造コース)
  • 身近な地域の経済を発展させるための具体的な方法(鳥取大学・地域学部・地域学科・地域創造コース)
  • プラスチックごみ(広島大学・総合科学部・総合科学科)
  • 核のゴミの処理について(広島大学・総合科学部・総合科学科)
  • 人や動物にとっての言語(山口大学・国際総合科学部)
  • ジェンダー観(九州大学・文学部)
  • 相互的な周囲との関係の再構成(琉球大学・人文社会学部・琉球アジア文化学科)
  • AI倫理(琉球大学・人文社会学部・琉球アジア文化学科)
  • 田舎での働き方(琉球大学・人文社会学部)

地元の産業・文化・環境の特性に関連したテーマが多く出題されていました。

人文科学の小論文の対策

地域のことと、日本や世界全体での動きの両方に目を配るようにしましょう。その際に、自分が興味を持っている分野を通して考えるようにしてみてください。

例えば山火事のニュースを見たとき、防災の観点から見ると、「どうすればケガ人を出さずに避難できるか?」が気になるでしょう。歴史の観点から見ると、「消防車がなかった時代ではどのようにして山火事を消したのだろう?」が気になるかもしれません。宗教の観点から見ると、被災した人が立ち直るのに宗教がどのような役割を果たしてきたのかを調べるようになるかもしれません。環境問題の観点から見れば、焼き畑農業による砂漠化の進行に想像が飛躍するかもしれません。

普段そうしたことを考えた経験が少ないと、考える切り口を見つけるのに苦労するはずです。「なぜ?」「つまり?」「ということは?」といったキーワードを使ってみると、切り口が見つかりやすくなります。地域の自治体が発行している雑誌を見て、「子育ての話題が多い気がする。なぜだろう?」と考えてみるのも受験対策につながります。

自分の身近な地域をどう発展させていくかを問われることもあるので、日ごろから地元の地域が抱えている問題、その解決策など考えておくと良いでしょう。

大学ごとのアドミッションポリシーを確認しておくことも、非常に重要です。志望大学がどのような学生を求めているのかを理解した上で、自分の意見を書きましょう。

各大学のアドミッションポリシーについては以下を参考にしてみてください。

小論文の書き方についてはこちらでも紹介しています。
小論文の書き方 手早く合格を取れる小論文の書き方とは?塾関係者が例文付きで解説!

まとめ

いかがでしょうか。人文科学は極めて範囲の広い学問です。「何」に興味があるかだけでなく、「どのように(どういう観点で)」興味があるかが問われます。そのため小論文のテーマも幅広くなり、対策が難しく思われがちです。しかし実際には、日ごろの興味の持ち方でずい分変えられます。

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