【2021年版】農学系の小論文 テーマの傾向と対策

近年、大学入試で小論文の重要性が急激に上がっています。そこで、学部系統別にどのようなテーマの小論文が出題されたのかまとめました。今後の大学受験勉強にぜひご活用ください。

2021年度大学入試の農学系の小論文

農学部では、野菜・穀物・動物などの食糧や、住居や衣服に使う植物など、生活で利用する生き物に関する生産・流通・販売を研究します。農学部という名前ですが農業だけではありません。

また、文科省の分類(http://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/daigaku/pdf/s-9-3-3.pdf)では獣医学部も農学系に含まれています。農、食糧資源林、水産、畜産、獣医などが農学系の学部・学科です。

農学系の小論文の傾向

農学系の学部・学科の卒業生は大抵、企業への就職・飼育員/農家という技術系と、公務員に分かれます。出題テーマもそれに沿って、大きく技術系と行政系の2つに分かれています。

技術系の問題ではバイオテクノロジーや種子の栽培など化学技術を用いた具体的なテーマの出題が多く、行政系の問題では農山村地域での農業活性化や野生生物の絶滅についてなど専門知識を行政に活かすような出題が多かったです。

2021年度入試で出題された小論文のテーマは以下のとおりです。

ここがPOINT
  • 動物の健康・福祉、獣医としての姿勢(帯広畜産大学・畜産学部・共同獣医学課程)
  • SDGs、農業従事者の人数と農耕面積の推移(帯広畜産大学・畜産学部・畜産科学課程
  • 人の脳の作り、有機農業(岩手大学・農学部)
  • ニホンジカの繁殖(弘前大学・医学部・農学生命科学部・生物学科)
  • 人工光合成(弘前大学・医学部・農学生命科学部・分子生命科学科)
  • フグ毒、機能性表示食品(弘前大学・農学生命科学部・食料資源学科)
  • 食品ロス(弘前大学・農学生命科学部・国際園芸農学科)
  • 農山村地域の課題(鳥取大学・農学部・生命環境農学科)
  • 野生生物の絶滅(鳥取大学・農学部・共同獣医学)
  • コムギとジャガイモ(岡山大学・農学部)
  • 果代栽培生産者による種子の採取・栽培利用の課題(琉球大学・農学部・亜熱帯農林環境科学科)
  • バイオテクノロジーを用いたタンパク質危機への対応(琉球大学・農学部・亜熱帯生物資源科)
  • 農地の集約化による経営規模の拡大化や法人化と、それを踏まえた今後の日本の農林畜業のあり方(琉球大学・農学部・亜熱帯地域農学科)

農学系の小論文の対策

技術系の問題については、心配はありません。一見すると専門的な内容ですが、問題を解くのに必要な知識は問題文で説明されています。それを読めば解ける程度に難易度も設定されています。多少の計算が求められるときもありますが、図表の基本的な見方が分かっていて四則計算ができれば大丈夫です。

注意が必要なのは行政系の問題です。生産者だけでなく他の立場の人たちの立場や状況も配慮する必要があります。

鳥取大学(2021年度)では「農山村地域の課題」がテーマに出されました。農山村地域にどういう課題があり、解決するにはどうすればいいと思うかを解答させる問題です。どういった課題を取り上げるかは受験生に任されています。

「高齢化による後継者問題」を取り上げるとすると、生産者側にとっての課題には「廃業と、廃業後の土地処理問題」があるかもしれません。これは行政側にとっても大きな問題になってきています。生産者側からすれば、廃業した後の広大な土地を自治体が高く買い取ってほしいと思うかもしれません。ですが、当然税金を使うわけですから他の生業に就いている人にとっては納得がいかないかもしれません。そうかと言って、後継者のいない土地は災害、経済、安全保障上の問題になるかもしれません。行政が管理に乗り出す必要があるかもしれません。

正解が1つではないうえに、自分なりの考えやアイデアを求められます。全く知らないテーマについて意見を求められても、すぐにアイデアは出てきません。そこで、もし自分の中で判断基準や考え方の方向性を身に着けていれば、良く知らないテーマについても捉えやすくなります。

判断基準や考え方の方向性を身に着けるには、まず、農学系に興味を持ったきっかけや理由を明確にしましょう。なぜ興味を持ったのか、どうしたいのか、どうなったらいいと思っているのかを言葉にしてみましょう。

例えば、アトピーに悩まされていた子どもが有機野菜を食べるようにしたらアトピーが改善した、というニュースを見聞きしたとします。それをきっかけに農学系に興味を持ったなら、興味をもったポイントは「有機野菜と無機野菜の違い」かもしれませんし、「なぜ/本当にアトピーが有機野菜で改善したのか?」という疑問を持ったのかもしれませんし、「有機野菜で体質が変わるの?」という仮説を持ったのかもしれません。

疑問や仮説についてさらに調べてみると、「有機野菜をもっとお手頃価格で消費者に届けたい。そのために生産者がネットで消費者に販売するECを作ろう」、「有機野菜の栽培の負担を減らしたい。そのために栽培システムで自動化できることを自動化しよう」、「有機野菜で世界中の人を健康にしたい。そのために行政として世界中に地元の有機野菜をアピールしよう」といった目標とその対策が生まれます。

このように考えたり調べたりした上で明確に形成された目標を持つと、自分なりの考える道筋や判断基準が生まれます。そうなれば、有機野菜以外のテーマが出題されても、この道筋や判断基準に沿って考えることができます。

前述の農山村地域の土地問題についても、地元経済の活性化を第一に考えるのであれば、行政側が土地を買い取り、地元経済の活性化につながるアイデアを持つ企業を誘致するという解答にたどり着くかもしれません。

ただ、こうした作業を一人で行うのは非常に大変です。普通に暮らしていても、そうした内容をじっくり考える機会はほとんどありません。しかも英語や数学といった学科試験の勉強もあり、高校や予備校の授業・宿題もあります。考えたり調べたりする機会を継続的に作り、時間的な負担を少しでも小さくするためにも、上手く人を頼りましょう。

小論文の書き方についてはこちらでも紹介しています。
小論文の書き方 手早く合格を取れる小論文の書き方とは?塾関係者が例文付きで解説!

まとめ

いかがでしょうか。農学系の学部・学科の小論文は、技術系・行政系と種類の異なる問題が出されます。この分野に興味を持つ人は、生産者や獣医など、技術提供側からの視点で興味を持った人が多いのではないでしょうか。大学入試では複数の視点を求められる問題もあり、その点に苦労する受験生も多くいるかもしれません。

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