共通テストは試験制度の変更点も多々あり、全体像をつかみづらい入試の一つです。共通テストの対策に迷っている方、不安を抱えている人も多いのではないでしょうか。今回は共通テスト対策の基礎知識をおさらいしたうえで、教科・科目ごとの対策について解説します。共通テストの対策をいつから始めるべきか迷っている方もぜひ参考にしてみてください。
目次
共通テスト対策の基礎知識
共通テストの新課程入試により、大学受験が今までとは異なる仕組みに変化しています。
まずは共通テストの概要や変更点、対策を始めるタイミング、受験科目の決め方、得点目標などについて解説します。
共通テストの全体像については下記の記事でもスムーズに把握できます。
大学入学共通テストとは?教科・科目、試験日程・時間割、出願期間、対策を解説!
新課程の概要と変更点
共通テストの新課程入試は、2022年度から運用された新学習指導要領に基づく教育課程に対応した大学入試です。
2025年から実施されている新課程入試では、「情報Ⅰ」の試験が追加され、地理歴史、公民、数学などの科目が再編され、6教科・30科目から7教科・21科目に変更されました。
「数学Ⅱ・B」は「数学Ⅱ・B・C」となり、情報の教科追加によって共通テストの満点は900点から1000点になりました。
受験科目選択の決め方
受験科目は必須科目と選択科目を決定します。大学によって必要な科目が異なるので、なるべく早く志望校の入試要項を確認しましょう。
苦手分野は克服に労力を要するので、基本的には自分の得意分野や興味を最大限に活かせるように考えるのが一般的です。
志望校の絞り込みと履修科目の選択については下記の記事もぜひ参考にしてみてください。
高校生の進路の決め方を解説! 決める上で大切なこと、決める時期は?【進路アドバイス付き】
国公立・私立で異なる得点目標
国公立大学では、5教科以上の受験を求められることが多く、各科目で大きく失点しないことが合格の条件となります。
その一方で、私立大学で共通テスト利用入試を受験する場合は科目数が少ない場合もあり、3教科程度に絞って高得点を狙うのが一般的です。
高校生活で共通テスト対策に使える時間は限られます。志望校による受験科目の変化を把握したうえで、目標得点の調整による戦略的な学習も必要になるでしょう。
共通テスト対策の科目別攻略【国語編】
国語の共通テストでは、現代文・古文・漢文から出題されます。それぞれの対策ポイントを解説します。
現代文・古文・漢文の対策ポイント
| 科目 | 対策ポイント |
| 国語(現代文) | 文章構成を大まかに把握したうえでキーワードや主張部分を正確に特定する読み方の訓練が必要。解答プロセスを振り返って間違えた理由を分析して、特定の読解パターンの弱点を補強しておく。頻出テーマを棚卸して、背景にある知識や概念、専門用語などを分析して理解を深めることも重要。 |
| 国語(古文・漢文) | 単語・文法の暗記と同時に歴史的背景や文化的知識のインプットも怠らないようにする。漢文は古文よりも基礎知識が少ないので、時間がなければ漢文を優先して学ぶことで得点を効率的に底上げできる可能性あり。 |
共通テスト対策の科目別攻略【数学編】
数学の共通テストでは数学Ⅰ・A、数学Ⅱ・B・Cなどの受験が求められます。それぞれの対策ポイントを解説します。
数学Ⅰ・A、数学Ⅱ・B・Cの対策ポイント
| 科目 | 対策ポイント |
| 数学Ⅰ・A | 計算力や方程式・図形の基本概念などを確かめる基本問題を完璧に解けるようにしつつ定型問題も着実に対処できるようにする。必答である場合の数、確率の問題にひるまないように、日常生活や仕事での実践を想定した学習も重要。 |
| 数学Ⅱ・B・C | 微分積分やベクトル、複素数平面などの勉強量が増える。教科書レベルの公式と使いどころ、基本原理を整理し、応用的な問題への対策も怠らないようにする。根本原理に対する理解力を養うために証明問題に取り組む姿勢も大切。 |
共通テスト対策の科目別攻略【英語編】
英語の共通テスト対策は主にリーディング・リスニングの科目に分かれます。それぞれの対策ポイントを解説します。
リーディング・リスニングの対策ポイント
| 科目 | 対策ポイント |
| リーディング | 英単語は4,000~5,000語程度(英検2級レベル)の習得が必要。語彙力を増やすだけでなく、英文法の基礎力、構文の解析力を高めて、複雑な文でも素早く文意を直感的に理解できるようにする。 |
| リスニング | 英語が聞き取れない理由を知り、原因を解消しておく。ギリギリまでリスニング力を上達させるために、ディクテーションやシャドーイングなどの訓練をしておく。 |
リスニングを上達させる勉強法、聞き取れない理由などについて詳しく知りたい方は下記の記事もぜひお読みください。
英語のリスニングを上達させる勉強法、コツを解説!聞き取れない理由は?【初心者~上級者まで必見】
共通テスト対策の科目別攻略【理科編】
共通テストの理科の対策は、物理・化学・生物・地学などの科目で異なります。それぞれの対策ポイントは下記の通りです。
物理・化学・生物・地学の対策ポイント
| 科目 | 対策ポイント |
| 物理 | 力学や電磁気などの基礎概念を理解して公式を使いこなせるようにする。公式は覚えるのではなく物理現象のイメージを関連づけて理解し、いつでも思い出せるようにするのが重要。 |
| 化学 | 計算問題や反応式に慣れることが必須。有機化学の構造式や反応経路なども体系的に学ぶ。過去問や模試で初見の化合物に関する問題も分析しておく。 |
| 生物 | 用語を暗記するだけでなく、用語の意味やほかの内容との関連性を含めて理解しておく。記述力や推論力を試される遺伝や生態系の思考問題の対策にも注力する。 |
| 地学 | 暗記が多い一方で、地図や資料の読み取りを交えた複合的な出題がある。知識と実践的な分析力の両方を鍛えておく。教科書の本文だけでなく図や写真の解説も熟読。 |
共通テスト対策の科目別攻略【社会編】
共通テストの社会の対策は、地理に関する科目や、歴史に関する科目、公共、倫理の科目などで異なります。それぞれの対策ポイントは下記の通りです。
地理・歴史・公共、倫理等の対策ポイント
| 科目 | 対策ポイント |
| 地理に関する科目 | 自然環境や人間生活に関する地理的事象の相互関係を示した図表に慣れておく。教科書や地図帳などの図表を眺めるだけでなく、判読できることは何かを考える訓練を行う。 |
| 歴史に関する科目 | 年号や人物名を覚えるだけでなく、時代背景や資料から読み取れる情報を結びつける訓練も必要。世界史に関しては日本の動向についても確認する習慣をつけておくのが望ましい。 |
| 公共、倫理 | 倫理は思想家と思想、著者などをセットで学んでおく。公共は出題割合が低い可能性も想定されるが対策を軽んじない。現代社会の課題に対する関心も深めておきたい。 |
共通テスト対策の科目別攻略【情報編】
共通テストの情報については、具体的に情報Ⅰを対策する必要があります。情報Ⅰの対策ポイントは下記の通りです。
情報Ⅰの対策ポイント
| 科目 | 対策ポイント |
| 情報Ⅰ | 情報セキュリティやネットワークの基礎など、日常生活に直結するテーマは身近な事例と結びつけながら学習。過去問の蓄積数が少ないため、塾や予備校などでサンプル問題や出題予測情報などを収集しておく。 |
情報Ⅰの対策については下記の記事で詳細をご確認ください。
共通テストの対策はいつから?おすすめのスケジュール
共通テストの対策はいつから始めるのが理想的なのでしょうか。おすすめのスケジュールについてご紹介します。
高2の秋からが理想的
高2の秋ごろから対策を始めるのが望ましいです。本格的に取り組まなくても、どのような問題が出題されるのかを把握しておくだけで、共通テストに向けたその後の勉強方針を最適化しやすくなります。
共通テスト対策として高1・高2で学ぶ基礎が重要になるため、高1から授業を真剣に受けて基礎を定着させる姿勢も意識しましょう。
共通テストの全容を把握するタイミングが遅れるほど対策が遅れてしまいます。高校に入学した段階で早めに進路と向き合いながら共通テストの仕組みを学び始めることが大切です。
高3夏までに基礎完成
高3夏までに基礎の完成を目指し、10月以降の秋から本格的に過去問演習に取り組みます。
この時期に押さえておくべきポイントは苦手分野にとらわれすぎないことです。弱点を克服することも重要ですが、苦手分野の克服には時間がかかります。
自分の得意分野で得点を伸ばしきるほうが、本番の成果が高まりやすい可能性もあります。
過去問を解きながら学ぶべき内容を慎重に精査して、貴重な勉強時間を無駄にしないようにしましょう。
直前期の演習と総仕上げ
直前期は演習をしながら総仕上げをします。出題範囲で解き切れていない問題があれば演習しつつ、これまで解いた問題をマスターできているかどうかも点検します。
ときには合格に不要な難問については切り捨てる勇気も必要です。塾や予備校の先生にも直前に学ぶべき内容についてアドバイスを受けるのもよいでしょう。
テスト前日は普段の学習通りに各教科の問題演習に取り組んだり、暗記の確認をするのみにとどめて疲れを残さないようにしたりする方が多いようです。
苦手科目の復習をする方もいるようですが、自信を失いそうな方は控えたほうがよいかもしれません。
共通テスト対策に関するよくある質問
共通テスト対策について細かい疑問が残っている方もいるでしょう。共通テスト対策に関するよくある質問に回答します。
Q1.どのように本番で時間配分すればいい?
A1.本番前に自分なりの時間配分を探っておくことが重要です。
模試や過去問に取り組むときにかかった時間配分を実際に記録してみましょう。
「大問1:〇分」「大問2:〇分」…「見直し:〇分」のように時間配分を視覚化することで、理想の時間配分を事前に分析しやすくなります。分析を終えておけば、本番の時間配分についてもイメージが湧きやすくなり、当日は自信を持って試験に臨めるはずです。
Q2.共通テストで8割を目指すにはどのくらいの勉強量が必要?
A2.一概には結論づけられませんが、一時的な勉強量の増加で8割を目指すのは難しいかもしれません。
共通テストで8割以上を獲得するには、習慣に基づく積み重ねの勉強量が求められます。
高校1年生から、予習をしたうえで授業に臨み、定期テストで高得点を目指し、適宜弱点を克服するようにしていれば、自然と8割以上を獲得するための勉強量が蓄積されていきます。
直前に暗記するだけの勉強ではなく、長期的に理解度を深める勉強をイメージして対策を始めるようにしましょう。
まとめ
共通テストは人によって受験科目の数が多く、対策の負担が大きくなってしまいがちです。
戦略的に志望校を選んで受験科目の数を調整することで、高得点を獲得して理想の進路を勝ち取ることもできます。
そのためには早い段階で進路を検討して対策を明確にすることが重要です。
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進路に迷っている方は、以下の記事も参考にしてみてください。




