高専(高等専門学校)とは?歴史や専門学校との違い、入試などをわかりやすく解説

高専(高等専門学校)は中学卒業後の進路として検討できる技術者養成学校です。ただ、一般的には高校へ進学する方が多いことから、存在を知らない方も少なくありません。今回は高専という進路の選択肢を知ってもらうために、高専の概要をはじめ、歴史や専門学校との違い、カリキュラム、入試、受験対策などをご紹介します。具体的な高専をピックアップして特徴や学科、偏差値などを一覧にまとめているので、どのような学校があるのかぜひチェックしてみてください。

高専(高等専門学校)とは?

高専とは高等専門学校の略であり、実践的・創造的技術者の養成を目的とした5年一貫の高等教育機関です。全国に国公私立をあわせて50校以上存在しています。歴史や高等専修学校・専門学校との違い、教育の特徴、カリキュラム、クラブ活動、コンテストなどについて紹介します。

歴史

高専は1961年6月に学校教育法の一部改正によって創設されました。1962年4月に第一校が開校されて以来、長い歴史を有しています。2012年には高専制度創設50周年の節目を迎え、「進化する高専」をキャッチフレーズにさまざまな記念事業が実施されました。

専門学校・高等専修学校との違い

高専と比較されやすい学校の種類として、専門学校や高等専修学校が挙げられます。高専と高等専修学校、専門学校の違いは下記の通りです。

比較項目 高専 専門学校 高等専修学校
進学対象者 中学卒業者 高校卒業者 中学卒業者
学校教育の分類 高等教育 高等教育 中等教育
卒業年限 5年 1年~4年 1年~3年

高専や高等専修学校は専門学校と違って中学卒業後の進路として検討できます。

教育の特徴

高専は一般的な高校と同様に中学を卒業した方が入学できます。入学後は5年一貫の教育によって一般科目と専門科目をバランスよく学び、技術者に求められる豊かな教養と体系的な専門知識を習得する流れです。入学者は学生、先生は教授、准教授、講師、助教などと呼ばれ、ゼミ教育のように大学を連想させる指導を受けられる環境となっています。

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カリキュラム

高専のカリキュラムは学習したことを応用するスキルを磨くために、理論に加えて実験・実習に重点を置いています。創造性にあふれた技術者の育成を目指して卒業研究もカリキュラムに組み込まれています。低学年から数学や理科の授業が多いため、計算や実験、ものづくりなどが好きな方に最適です。

クラブ活動やコンテスト

高専では学業に励む以外にクラブ活動やコンテストなどに参加できます。3Dデザイン研究会や電算部、ロボット研究会など、技術系のクラブも多い傾向です。競技課題に対してアイデアを駆使してロボットを制作して成果を競う「高専ロボコン」に参加することも可能です。

高専一覧

高専にはどのような学校があるのでしょうか。日本の高専をいくつかピックアップして一覧でご紹介するとともに、海外にも設立されているのかどうかも解説します。特徴や学科・コース、偏差値などを参考にしてみてください。

日本の高専

高専 種類 特徴 学科・コース エリア 偏差値
舞鶴工業高等専門学校 国立 令和4年度以降に準学士課程第1学年に入学する全学生に、リテラシーレベルの数理・データサイエンス・AI教育プログラムを実施。 機械工学科

電気情報工学科

電子制御工学科

建設システム工学科

京都府舞鶴市字白屋 62
松江工業高等専門学校 国立 社会・地域に貢献できる創造性と実践的技術力を兼ね備えた国際的なエンジニアを育成。 人文・数理科

機械工学科

電気情報工学科

電子制御工学科

情報工学科

環境・建設工学科

島根県松江市西生馬町 60
岐阜工業高等専門学校 国立 3年次の特別活動で「企業連携型事業アイデアソン」に参加し、チームを組んで地域企業の課題に取り組む。 機械工学科

電気情報工学科

電子制御工学科

環境都市工学科

建築学科

岐阜県本巣市上真桑 66
サレジオ工業高等専門学校 私立 心においても近くに教師の存在が感じられる教育を実践して豊かな心を持つ「人」を育成。 デザイン学科

電気工学科

機械電子工学科

情報工学科

東京都町田市小山ヶ丘 51
大阪公立大学工業高等専門学校 公立 ものづくりの街大阪で、深く専門の学芸を教授し、創造力と倫理観の高い実践的技術者を養成。 エネルギー機械コース

プロダクトデザインコース

エレクトロニクスコース

知能情報コース

大阪府寝屋川市幸町 64

海外の高専

海外にも高専が設立されています。1991年以降にモンゴルから日本の高専への留学生派遣が始まり、日本の高専教育の効果がモンゴル国内で認められていきました。

2014年にはモンゴル人の高専留学卒業生の協力によって、「モンゴル工業技術大学付属モンゴルコーセン」「新モンゴル学園付属高専」「モンゴル科学技術大学付属高専」が設立されています。

高専の入試

高専は技術者を目指す生徒に適した環境であることがおわかりいただけたでしょう。受験を検討するにあたって気になるのが入学試験です。高専ではどのような入学試験が行われるのでしょうか。高専の入学試験の内容と対策について解説します。

入学試験の内容

高専の入試は基本的に推薦入試と学力入試に分かれます。

推薦入試では、面接や小論文、口頭試問、適性検査、グループワークなどがおおよそ1月上旬~中旬ごろに実施されます。受験にあたって学校長の推薦が必要なほか、指定された平均評定以上の成績まで求められるのが一般的です。

内申点と評定の関係について知りたい方は下記の記事も参考にしてください。

内申点とは?いつの成績が評価される?計算方法や上げ方、裏技なども解説!

学力入試では、5科目(国数英理社)の学力を試すマークシート試験が2月中旬ごろに実施されます。基本的に国立高専と一部の公立で共通の問題が出題されますが、採点方式や受験科目は高専によって異なる場合もあるようです。試験日程が被らなければ普通高校・私立高校と併願することもできます。

過去問については国立高等専門学校機構のホームページでご確認ください。

入試過去問(国立高等専門学校機構)

入試対策

高専の推薦入試・学力入試を突破するための対策としておすすめなのが、Axisのオンライン家庭教師です。

全国から理数教育に特化した優秀な講師を探して、面接や小論文、科目試験の対策をスムーズに始められます。全国のネットワークを活かした学校情報のリサーチ、提供により、志望校に最適なカリキュラムを提案することも可能です。

入学して寮に入ったあともオンラインであれば継続して授業を受けられます。入学後に学校の授業についていけるか不安な方にもおすすめです。

※寮での通信学習が可能かどうかは、確認しておきましょう。

Axisのオンライン家庭教師

中学生からオンライン家庭教師を利用するメリット・デメリットについては下記の記事をご覧ください。

オンライン家庭教師は中学生におすすめ? メリット・デメリットを詳しく解説!

高専の卒業後の進路

高専の卒業後の進路としては、就職と進学に分かれます。それぞれの進路について解説します。

就職

高専の卒業生は、実践的・創造的技術者として産業界に輩出され、大卒のエンジニアと並んで研究開発・生産管理・生産現場などの各部門で活躍しています。

国立高専卒業生の就職率は例年ほぼ100%となっており、ほかの学校種と比較して高い水準です。

製造業や情報通信業、建設業、電気・ガス・熱供給・水道業、運輸業、郵便業などで働く方が多くなっています。

進学

高専を卒業してさらに進学を希望する方には、専攻科への進学ルートも開かれています。

専攻科制度は、高専の本科課程による5年間の実践教育をベースに、さらに2年間研究できる課程です。専門分野の知識と技術を深めて問題解決能力を高められます。

大学評価・学位授与機構の定めた条件を満たせば、同機構に申請することで学士の学位を獲得することも可能です。4年制大学の学部卒業と同じ資格で大学院に進学できます。

高専に関するよくある質問

高専がどのような学校なのか理解が深まったのではないでしょうか。高専についてさらに詳しく知ることができるように、よくある質問にQ&A形式で回答します。

Q1.高専からの大学編入は可能?

A1.技術科学大学や多くの国公私立の工学部やほかの学部が、高専からの編入学(基本的には3年次編入)を積極的に受け入れており、高専から大学に編入することも可能です。

大学は高専の専攻科よりも学生や学部、部活、サークルの数が多く、自分の研究分野以外の人々とも気軽に交流できます。

就職において、企業や職種によっては大卒以上の学歴が求められ、高専卒が採用されないケースもあるようです。

そのため、自分の可能性や就職の幅を広げられるよう、大学に編入する人も少なくないのでしょう。

Q2.高専は時代遅れ?入ってから後悔しない??

A2.現在は大学進学率が高くなっている点で、高専は時代遅れといわれることもありますが、高専にメリットを感じる保護者様、お子様も見受けられます。

エンジニアに必要な教育を受けて希望の仕事を最短で目指すのは、目的意識なく大学に進学するよりも合理的だと感じるのでしょう。成績が優秀で学年トップの生徒が高専に入学するケースも珍しくありません。

とはいえ、一般的な進学ルートとは異なるため、安易な理由で入学すると後悔するリスクも高まります。特に興味関心が薄い学科を選んでしまうと勉強が苦痛になってしまいがちです。

なんとなく技術者にあこがれて高専を目指すのではなく、徹底した自己分析のもと真剣に将来を考えたうえで受験を検討しましょう。

まとめ

高専は技術者の養成に特化している学校です。学校の数が限られていることから、進学ルートとして見落としてしまいがちですが、数学や理科などが得意な方であれば受験を検討しない手はありません。

とはいえ、一般的な高校とは教育環境や卒業後の進路、就職先の傾向、受験対策も変わってきます。

高専についてさらに詳しく知りたい方、志望校の対策を始めたい方などは、Axisのオンライン家庭教師のホームページをご覧ください。