文部科学省は、大学改革を推し進めるという点から、2017年(平成29年)4月から、すべての国公私立大学に対して3つのポリシーを策定し公開することを義務付けました。
ポリシーとは、方針や方向性という意味で、大学教育においてどのような方針を立て、実施していくのか広く社会に示すことが「大学の責務」となったのです。
目次
ポリシー攻略ガイド!総合型選抜の合格に直結させる方法とは?
ポリシーを知ることは、総合型選抜において「有利になる」というレベルではなく「合格のための必須条件」です。なぜなら、総合型選抜は一言で言えば「大学側が求める生徒と、あなたのマッチングを確認する入試」だからです。
総合型選抜入試にあたって、最も知っておくべきアドミッション・ポリシーを含め、大学のポリシーがどういったものなのかを理解しておきましょう。
大学教育の基本:建学の精神や教育理念
3つのポリシーの詳細を解説する前に、大学教育の基本となっている点を押さえておくことが必要です。
伝統のある大学が多く、それぞれの大学に創立者の存在があります。
創立者が大学を創設した当時の思い、つまり建学の精神や教育理念を知っておくことでそれぞれのポリシーが策定された背景や今なお継承されている点が理解できます。
各大学のHPにも公開されていますので、歴史、建学の精神や教育理念に目を通しておきましょう。
建学の精神とアドミッション・ポリシーの関係性
建学の精神とは、その大学が「なぜ作られたのか」「どんな人間を育てたいのか」という究極の目的です。
その建学の精神を実現するために、「今、どんな力を持った受験生に入ってきてほしいか」を具体化したものがアドミッション・ポリシーなのです。
建学の精神や教育理念に共鳴し理解することで、志望理由書に大学を選択した理由を自分の言葉で記述することができます。
3つのポリシー(アドミッション・カリキュラム・ディプロマ)とは
本記事では、3つのポリシーの詳細を解説し、ポリシーを理解したうえで総合型選抜入試にどのように活かしていくのかポイントを徹底解説します。
以下が3つのポリシーの概要です。
アドミッション・ポリシー:入学者受入れの方針
後述のディプロマ・ポリシー及びカリキュラム・ポリシーの内容も踏まえて入学者に求める方針が示されており、
3つのポリシーの中で、最も受験に関わります。
カリキュラム・ポリシー:教育課程編成・実施の方針
ディプロマ・ポリシーを踏まえた教育カリキュラム、教育内容・方法、学習成果の評価の方針を示しています。
ディプロマ・ポリシー:卒業認定・学位授与の方針
その大学が考える、学生が身に付けるべき知識や資質、技量(スキル)を示しています。
どのような方針で教育を受けているのか、受け入れる社会や企業も注目しています。
アドミッション・ポリシーとは
大学入試を受験する上で、入学者の受け入れ方針を明示しているアドミッション・ポリシーを理解することは極めて重要です。
アドミッション・ポリシーとは何なのか?なぜ総合型選抜入試においては重要なのか?を解説していきます。
かんたんアドミッション・ポリシー解説
アドミッション・ポリシーという言葉は少し硬いですが、一言で言い換えるなら「大学からの『こんな人と一緒に勉強したい!』というラブレター」です。
身近な部活で例えると、あなたが「サッカー部」の部長だとして、新入部員を募集するとします。
・「とにかく足が速い人がいい」
・「初心者でも、毎日休まず練習に来る根性がほしい」
・「チームプレーを大事にする優しい人がいい」
これらが、その部活にとっての「アドミッション・ポリシー」です。
「足が速い人」を探しているところに、「私はピアノがすごく上手です!」とアピールしても、部活(大学)側は「すごいけど、うちが探している人とはちょっと違うかな……」となってしまいますよね。
「大学側がどんなタイプを求めているのか、あらかじめ教えてくれているヒント」だと考えると、少し身近に感じられませんか?
アドミッション・ポリシーが総合型選抜で重視される理由
大学がどのような学生を求めているのか、またどのような学問に関心があり大学でどのよう知識を身に付けていこうとしているのか、というさまざまな視点から受験生を選抜する旨が示されています。
アドミッション・ポリシーの理解を深めるために、ある私立大学のデータサイエンスを学ぶ学部のポリシーを一例(抜粋)として概要をご紹介します。
・求める学生像として、文化についての知識や関心とともに、データサイエンスの技法を学ぶための基礎となる知識と技能を身につけている
・探求的カリキュラムを十分に生かすための言語の運用能力に加え、数理的な理解力・表現力・思考力を身につけている
・人間をとりまくさまざまな文化現象の中に新しい価値を見いだし、それを社会問題の解決につなげようとする開拓的かつ向社会的な精神をもつ
このように志望校のアドミッション・ポリシーを把握しておくことで、受験に対する方向性を見つけたり、学習法のヒントになることも見いだすことができます。
カリキュラム・ポリシー、ディプロマ・ポリシーとは
カリキュラム・ポリシー、ディプロマ・ポリシーについても引き続き解説を行います。
カリキュラム・ポリシーとは:学びの進め方のルール
カリキュラム・ポリシーとは、ディプロマ・ポリシーを基にした教育課程を意味し、大学で実際に行われる教育内容を指します。
・必修科目(卒業までに必ず単位を取得しなければならない科目)
主に専門性を持つ科目で、学部教育の根幹ともいえる科目が多く、学部を卒業するためには必須の知識や素養が教育内容となっています。
・選択科目(卒業までに学部が必要とする単位を取得しなければならない科目)
選択科目では、類型(科目分野によって類型分けされ、さらに類型の中に科目群を置くなど選択の幅を広げた形で科目が設置されています。
学生は、シラバスを通じて講義内容や授業計画、評価方法(学期末試験や授業の出席、レポートなど)を知ることができ、講義の詳細を把握してから受講科目を決めることになります。
自分が「その大学でどんな勉強がしたいのか」を考えるヒントになるポリシーです。
ディプロマ・ポリシーとは:卒業時に求められる姿
大学に入学すると、それぞれの学部で履修に関する要項が配布されますが、必修科目、選択科目、必修選択科目、他学部で受講できる科目、自由科目(卒業単位に算定されない科目)などと、卒業に必要な単位数などの科目情報が細かに記載されています。
学生は、科目の内容や評価が具体的に示されているシラバスを見ながら、自ら卒業までの学習計画を立て、時間割を組むことになります。
ディプロマ・ポリシーとは、それらの学習計画をもとに、在学中に学生が身につける知識や資質、能力・技量を明確にした方針となります。
自分が「その大学に入学することで、どんな人間になりたいか」を考える上では重要なポリシーです。
卒業後の目標や取得したい資格、どのような職業に就きたい・活動したいという点も整理しておき、自分の言葉でわかりやすく説明できるようにしておくことも肝要です。
3つのポリシーの違いとつながりの整理
アドミッション・ポリシーは入口です。「こんな人と勉強したい!」という入学者受入方針になります。
カリキュラム・ポリシーは中身です。「こんな授業で鍛えるよ!」という教育課程編成方針になります。
ディプロマ・ポリシーは出口です。「こんな力がついたら卒業!」という卒業認定・学位授与方針になります。
ここを押さえておくと、3つのポリシーがより詳しく理解できるでしょう。
ポリシーの活用法
3つのポリシーの中でも、大学受験という点からするとアドミッション・ポリシーが最も重要となりますが、その他のポリシー含め、活用法をお教えいたします。
大学サイトでポリシーを探す手順
受験しようと考えている大学について、まずは情報収集が必要となるでしょう。
多種多様の情報が満載な大学のHPをチェックすることから始める方が多いと思いますが、各大学のトップページのメニューにある「大学の概要」「理念・目的」といった項目の中に、ポリシーは格納されていることが多いです。
大学別のアドミッション・ポリシーの詳細と、対策については以下バナーのリンク先を参考にしてみてください。
※すべての大学のアドミッション・ポリシーを掲載しているわけではございません。あらかじめご了承ください。
アドミッション・ポリシーの文からキーワードを抜き出す方法
大学受験で重要なアドミッション・ポリシーを例に挙げると、文章の中で、一番最初に書かれていることや、何度も出てくる言葉が、その学部が最も重視している「最優先キーワード」です。
その上で、キーワードを抜き出す際、名詞だけでなく「動詞」に注目すると、大学側が求めている「行動」が見えてきます。
「探究する」という動詞がある場合は、単に勉強ができるだけでなく、自ら問いを立てて調べた経験(探究学習など)をアピールすべきです。「共感する」という動詞がある場合は、リーダーシップよりも、チームを支えたり、相手の立場に立ったりした経験が生きるでしょう。
このような点を踏まえて、受験しようと考えている大学に対して学びたいという熱意を伝えることができれば、志望理由書や面接はクリアできるといっても過言ではありません。
アドミッション・ポリシーで示されている内容は、総合選抜入学試験の試験科目(小論文、面接、口頭試問、プレゼンテーションなど)や、どのような点が評価対象となるのかのヒントが隠されています。十分なチェックをしておきましょう。
小論文の書き方
小論文では、出題されたテーマの意図する点をよく理解し、PREPの手法に沿った構成を綿密に考えてから実際に書き始めることが大切です。
PREPの手法とは、「結論(Point)→理由(Reason)→具体例(Example)→結論(Point)」の順で構成する、論理的で説得力の高い文章のことです。
最初に示した結論が、最後に示す結論と齟齬(食い違い)があると、論理的な思考が不十分とみなされるので、ぶれることなく順序立てて論理的に記述することを心がけるとよいでしょう。
小論文の過去問を入手することは難しいですが、学校や塾などで対策として出される課題について、文字数をいろいろと設定してみて文章を書く練習をし、指導を仰ぐことが重要です。
また情報収集の一環となりますが、受験しようとする学部に関係する事柄は、新聞を読む、ニュースを見る、ネットで調べてみるなど、常にアンテナを張っておきましょう。
まとめ
アドミッション・ポリシー、カリキュラム・ポリシー、ディプロマ・ポリシーについて解説しました。
志望大学のポリシーを理解すれば、総合型選抜入試に必要な、志望理由書などの書類審査、小論文、面接などの対策が明確になってきます。
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進路の決め方に迷っている方は下記の記事もぜひ参考にしてみてください。








