【2021年版】【大学別】帯広畜産大学の過去3年分の小論文傾向

大学入試改革により、2021年度入試より小論文を入試科目として採用する大学が急増しました。実際にどういうテーマが出題されていたのかを紹介します。今後の受験勉強にぜひご活用ください。

2019-2021年度の帯広畜産大学の小論文テーマ

2019年度から2021年度の帯広畜産大学の小論文テーマ一覧は以下のとおりです。

年度 学部・学科

(試験種別)

小論文の種類 テーマ
2021 畜産学部・共同獣医学課程

(一般後期)

教科型・課題文読み取り型 『Antibiotic resistance—consequences for animal health, welfare, and food production. (Upsala Journal of Medical Sciences. 2014; 119: 96–102)』から、動物の健康や福祉について述べた英文を読み、

問題1.要約。(200字以内)

問題2.本文内容を踏まえて、獣医師として自分が何をできるかを記述。(800字以内)

畜産学部・畜産科学課程

(一般後期)

テーマ型 SDGsの概要を解説したうえで6つの目標を抜粋して提示。そのうちの1つを選んで、目標達成のために帯広畜産大学で何を学んで貢献するかの意見を1000字以内で記述。
畜産学部・畜産科学課程

(公募)

テーマ型・グラフ読み取り型 2000年と2015年の日本の農家戸数や農業従事者、耕作地面積の図を示し、内容についての記述(200-300字以内)と、それを踏まえた自分の意見を記述(500字以内)。
2020 畜産学部・畜産科学課程

(公募、帰国生)

テーマ型・資料読み取り型 問題1. 日本の食料自給率は、長期的に見て低下傾向にあり、自給率の向上が課題となっている。下の表は、農畜産物における品目別の国民1人・1日当たり供給熱量(カロリー)の推移を示している。また、図は、供給熱量ベースの総合食料自給率および飼育自給率の推移を示している。表と図を利用して以下の問いに答えなさい。(図表は「食糧需給表」(農水省)より作成)

(1)1975年から2015年までの過去40年間で、供給熱量の増加率と減少率が最も大きかった品目は何か答えなさい。また、1975年の供給別量を100%としたときの、それらの増加または減少率を示しなさい。

(2)日本の食料自給率が過去40年間で低下した主な要因を、表と図を利用して150字程度で説明しなさい。ただし、食料自給率の算出の際、輸入飼料を使って生産された畜産物は国産には算出されません。

問題2. 下のA~Dの図は、2008年~2017年の過去10年間における日本の酪農家の、A: 飼養戸数、B: 1戸当たりの飼養頭数、C: 生乳生産量、D: 搾乳牛1頭当たりの飼料費の推移を示したものである。全国、都道府県ならびに北海道のこれら4つのデータを比較して、北海道酪農の特徴を350字程度で説明しなさい。(A~Dの図は、「畜産統計」「牛乳乳製品統計調査」「畜産物生産費統計」(農水省)より作成)

問題3. 現在、世界的に「持続可能開発目標(SDGs)」を達成するために17の目標を掲げ、様々な取り組みが行われている。その中の目標2に『飢餓に終止符を打ち、食糧の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進する』ことが明記されている。日本または世界において、食料自給率の向上や安定的な食料生産を図りながら、持続可能な農業を推進するためにはどのような取り組みを実践していかなければならないと思うか、400字程度で述べなさい。

2019 畜産学部・共同獣医学課程

(一般後期)

教科型・課題文読み取り型・資料読み取り型 問題1. Leahy S; National Geographicの英文記事で述べられているGlobal WarmingがPolar Bearsに与える影響について、記事にある具体的な理由を含めながら400字以内で説明しなさい。

問題2. Pagano AM et la; Scienceの英文記事を読んで、(1)文中の下線で示す科学論文で報告された結果から、獲物の種類と体重変動の関係性について300字以内で説明しなさい。

(2)この英文記事が述べている内容に対して獣医師はどのようなことができるのか。あなたの考え・意見を300字以内で述べなさい。

畜産学部・畜産科学課程

(一般後期)

テーマ型 問題. 北海道では近年、環境問題や自然災害による農畜産業への被害が多発しています。例えば、2016年には4つの台風による豪雨災害で農地や畜舎が流出し、全国的にも馬鈴薯やスイートコーン等の供給不足が大きく報道されました。2018年には北海道胆振東部地震による大規模停電(ブラックアウト)により、酪農家では生乳の保冷が出来ずに大量廃棄が行われ搾乳が行えないために乳牛の病気が発生しました。また、野生動物による森林や農作物への食害も大きな問題となっています。これらの環境破壊や自然災害は北海道の農畜産業や食品産業の経営に大きな影響を与えました。あなたが将来、帯広畜産大学において学ぶことが、このような環境破壊や農業被害の対策にどのように貢献できると思いますか。あなたが実際に帯広畜産大学で学びたいと考えていることを想定して考えを1000字程度で述べなさい。

※2020年度は一般後期日程が中止になったため、過去問は推薦入試のみです

2019-2021年度の帯広畜産大学の小論文傾向

共同獣医学課程と畜産科学課程で傾向が異なっています。それぞれの傾向を記します。

共同獣医学課程の傾向

毎年、大問2題です。動物の健康についての英文記事を読み、その内容の要約を日本語で記述する問題と、記事内容に関して獣医師の立場で自分の意見を日本語で記述する問題です。1題目は専門内容の知識や特別な英単語の暗記は必要ありません。英語の長文読解力と、ポイントを簡潔に記述できる力を確認する問題です。

2題目については少し注意が必要です。獣医師としての意見の記述を求められます。まだ獣医師ではない受験生が獣医師としての考えを書くのは簡単ではありません。日頃からそうした観点で物事を見るようにするのと、難しいと感じる受験生は動物についての情報に触れておくほうがいいでしょう。

2019年度入試問題にNational Geographicの記事が引用されています。その日本語版の記事をネットで閲覧できます。世界各地の動物の現状や、その状況への専門家の対応などが書かれています。内容はあくまで、NHKのテレビ番組『ダーウィンが来た!』のような、一般向けです。受験勉強の合間に気分転換がてらに読むだけで、動物の生息状況や専門家の見方を大まかに把握できます。

細かく覚える必要はありません。定期的に情報に触れておくと、大まかな知識の枠組みが出来上がります。それで十分です。いざ対策を始めたときに小論文を書きやすくなります。

畜産科学課程の傾向

一般後期入試はテーマ型です。リード文を読んで1,000字程度での記述問題です。公募・帰国生入試はテーマ型に資料を追加した問題が出されています。出題内容はどちらも、SDGsや自然災害など農業や酪農の課題と、その課題解決に向けて帯広畜産大学で何を学ぶかです。農業や酪農の課題については、リード文や資料に目を通せば分かるようになっています。

入試では、北海道だけでなく日本全国の状況について問われます。と言っても、日本全国でどう対応するか考えるというより、北海道の状況を通して日本全体の規模でも考えればいいように問題が作られています。日頃から、北海道の農業・酪農の状況についてアンテナを張るようにしましょう。地元のテレビ番組などで特集があれば見るようにして、その内容について自分でも調べてみましょう。

小論文の書き方についてはこちらでも紹介しています。
小論文の書き方 手早く合格を取れる小論文の書き方とは?塾関係者が例文付きで解説!

まとめ

いかがでしょうか。出題内容は専門分野がメインですが、専門知識が問われるわけではありません。一般に報道されている程度の内容は知っておく程度で十分ですが、その内容について少し調べる習慣をつけておけば、入試本番で書く内容を思いつきやすくなります。

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