【2024年版】社会科学の小論文 テーマの傾向と対策

近年、小論文の対策をきっちり行った受験生が志望校に合格しやすくなっています。そこで、学部系統別にどういうテーマの小論文が出題されたのかまとめました。今後の受験勉強にぜひご活用ください。

2021~2024年度の社会科学の小論文

社会科学は、人文科学と並んで人間の生活における様々な現象を扱っています。人文科学が哲学、美術や歴史といった分野で現象の意味解釈を行うのに対して、社会科学は経済などの分野で現象を科学的・統計的に解明して先を見通すために活用される学問です。対象範囲が非常に広いため、学部・学科の名称も「経済」「経営」「商」「法」「行政政策」「健康福祉」など様々です。

社会科学の小論文の傾向

法学部とそれ以外の学部で傾向が多少違っていました。

法学部の場合、旧帝大や地元の名門大学では民主主義をテーマに扱う問題がやや目立ちました。司法権を扱っている大学もあり、問題作成担当の教授の専門性によるかもしれません。一方で、地方の大学の法学部では経済との関連で法律を活用する問題を出題していました。法曹界は伝統的な組織体制と言われていますので、大学卒業後の進路の違いが理由かもしれません。

時事としてウクライナ侵攻やSDGsに絡めたテーマも散見されました。

また、法学部以外の学部では、出題パターンが大きく2つに分かれました。1つは地元の経済発展、高齢者の生活など地元の課題に関係するテーマを扱っている問題で、もう1つはデータ分析の概要を問題文で解説して具体的な事例で活用させる問題でした。切り口は違っても、どちらも大学入学後や卒業後に学生が専攻分野の知識を使える状態になることを目指しているようです。

2021~2024年度入試で出題された社会学の小論文のテーマは以下のとおりです。

Check Point
  • 民主主義(北海道大学・法学部)
  • 統計学の活用(北海道大学・経済学部)
  • 公共施設建設に関する対立と合意(福島大学・行政政策学類)
  • 外国人の地域の受け入れ(福井大学・国際地域学部)
  • データ分析の仕方(富山大学・経済学部)
  • 民主主義(金沢大学・人間社会学域・法学類)
  • ナッジの利用(埼玉大学・経済学部)
  • 司法権の独立(東京大学・文科一類)
  • 市場経済、格差社会(一橋大学・商学部)
  • 戦争が悪ということと道徳、倫理の関連性(慶應義塾大学・法学部)
  • SDGsへの対応が求められる理由(東京都立大学・法学部)
  • マネーボールのような統計手法の日常生活への活用(専修大学・経営学部)
  • データを用いた実証分析(上智大学・経済学部・経済学科)
  • 移民労働力と福祉国家のあり方(静岡大学・経済学部)
  • ミッション・ステートメントの紹介と、地元商店での活用(岐阜大学・社会システム経営学環)
  • 地元経済の再生、新型コロナウイルス感染症拡大による政治的、社会的、経済的影響(岐阜大学・地域科学部)
  • 国会議員候補者のの半数を女性とすることの賛否(名古屋大学・法学部)
  • 財政と民主主義(三重大学・人文学部・法律経済学科)
  • 共働き社会の格差(大阪公立大学・法学部)
  • 成熟型都市経営(和歌山大学・経済学部)
  • 民主主義とポピュリズム(広島大学・法学部・法学科)
  • 女性の力を伸ばす就労環境づくり(広島経済大学・経済学部他)
  • 経営における人まね、AIを活用した人事評価(広島大学・経済学部・経済学科)
  • 移民受け入れに伴う法整備(徳島大学・総合科学部)
  • ベーシックインカム(北九州市立大学・経済学部)
  • 高齢者及び病気や障害を持つ人の社会参画(大分大学・健康福祉学部)
  • 金融リテラシー(大分大学・経済学部)

社会科学の小論文の対策

この分野は、専攻分野の知識の活用を求められる傾向が比較的強いです。とは言っても、専門知識を独自に勉強する必要はありません。この分野を志望する受験生なら、大学受験対策でほぼ全員が地歴公民を1度は勉強するはずです。それをうまく活用しましょう。

受験勉強では丸暗記だけに頼らず、「なぜその現象が起きたのか?」を自分なりに考えてみるようにしましょう。そして、そこで立てた仮説をネットで調べたり、学校や塾・予備校の先生に確認しましょう。

覚えただけだと、知識が上滑りして小論問題を解けません。例えば、広島大学では「いかにして民主主義者はポピュリスト的な指導者や政党に対応すべきか」と出題されています。受験問題集では「ポピュリストと対話する」といった表現で回答します。しかし、それでは小論問題の解答になりません。なぜ「対話」であって「対抗」ではいけないのか、「対話する」とはつまり何をするのか。その解説をすべて暗記するのはまず無理です。自分なりにそれらの問いに答えを出そうとしてみて初めて使える知識を獲得できます。そうして知識をいくつか獲得すると、それらの知識がつながってきて、初めての問いに対しても活用できるようになります。

また、地理や歴史の受験問題集には数字入りの図表が出てきます。単に「小麦の輸出額1位の国はどれか?」「戦艦保有数1位の国はどれか?」を見るだけでなく、「なぜその国が1位なのか?」「小麦輸出額/戦艦保有数が1位ならどうなるのか?」を考えてみましょう。大学受験の小論文では、その「なぜ?」「どうなる?」と考えて、データなどに基づいて自分なりに答えを出す姿勢を問われます。

小論文の書き方についてはこちらでも紹介しています。
小論文の書き方 手早く合格を取れる小論文の書き方とは?塾関係者が例文付きで解説!

まとめ

いかがでしょうか。社会科学はデータや歴史的背景から社会現象を分析する学問です。データや歴史状況の分析に慣れてしまえば決して難しくありませんが、高校生にはなじみの薄い内容です。慣れている人との質疑応答などを通して分析や活用のコツをつかむようにしましょう。

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