芸術大学とは?美術大学や音楽大学との違い、学べる内容や入試形態、対策について解説!

絵や彫刻、音楽といった芸術が好きな方であれば、芸術大学への進路が思い浮かぶでしょう。ただ、芸術を学べる大学は芸術大学だけではありません。美術大学や音楽大学などもあります。それぞれの大学について全体像を把握することで進路をスムーズに決めやすくなります。今回は芸術大学とは何かがわかるように、概要や学部・学科・コースなどをご紹介します。入試形態と試験内容の例、合格のポイントにも触れるので、受験のイメージを膨らませるのにお役立てください。

芸術大学とは?

芸術大学とは音楽と美術などを学べる大学であり、美術大学や音楽大学などの種類もあります。芸術大学と美術大学、音楽大学の違いがわかるように、それぞれの概要と学部・学科・コースの例などをご紹介します。

芸術大学

芸術は、美を表現する人間の活動とその結果生み出されたものを意味する言葉です。一般的に絵や彫刻、音楽などが芸術に含まれます。

芸術大学とは、芸術分野をメインに学べる学部・学科・コースのある大学です。「~藝術大学」「~芸術大学」などの名称がつけられる傾向にあります。芸大との略称で呼ばれることも多いです。

芸術大学では主に美術学部や音楽学部などがあります。美術学部は芸術学科や絵画科、工芸科、建築科、デザイン科、音楽学部は作曲科や声楽科、器楽科、指揮科、邦楽科などに分かれます。美術を学びたい方、音楽を学びたい方のいずれも志望しやすいです。

美術大学

美術は、色や形の美しさを表現する芸術を意味する言葉です。芸術の一種に含まれます。

美術大学とは、美術をメインに学べる学部・学科・コースのある大学です。「~美術大学」「~造形大学」などの名称がつけられる傾向にあります。美大との略称で呼ばれることも多いです。

主に美術学部があり、日本画専攻や油画専攻、版画専攻、彫刻専攻、写真専攻などに分かれます。デザインコースやアニメーションコースなどを開設する大学も少なくありません。

芸術大学よりも一つの芸術ジャンルに特化して学びやすい環境です。一般的に音楽学部は開設されない傾向にあります。

音楽大学

音楽は、音や声にメロディーやリズムなどの形を与えて人に聞かせる芸術を意味する言葉です。美術と同様に芸術の一種に含まれます。

音楽大学は音楽をメインに学べる学部・学科・コースのある大学です。「~音楽大学」という名称がつけられる傾向にあります。音大との略称で呼ばれることも多いです。

主に音楽学部があり、演奏学科や音楽総合学科などに分かれます。ピアノコースや管楽器コース、弦楽器コースなど、楽器ごとのコースを開設する大学も多いです。

美術大学と同様に、芸術大学よりも一つの芸術ジャンルに特化して学びやすい環境です。一般的に美術学部は開設されない傾向にあります。

芸術大学の例と主な入試形態

芸術大学の志望を検討するにあたって、入試形態と試験内容が気になる方も多いでしょう。引き続き、有名な芸術大学と主な入試形態、試験内容の例をご紹介します。

国公立

国公立の芸術大学とそれぞれの入試形態と試験内容の例は下記の通りです。

大学名 入試形態と試験内容の例
東京藝術大学 一般入試

→実技試験や学科試験、小論文、面接など

愛知県立芸術大学 総合型選抜

→自己推薦書および自己アピール資料、作品の提出など

京都市立芸術大学 一般入試

→大学入学共通テストの受験、課題の研究レポート提出、描写試験、作曲試験など

金沢美術工芸大学 学校推薦型選抜

→推薦書、志望動機書の提出、実技作品の口頭説明など

沖縄県立芸術大学 総合型選抜

→作品写真集1冊の提出、小論文、面接、プレゼンテーションなど

東京五美術大学

東京五美術大学とそれぞれの入試形態と試験内容の例は下記の通りです。

大学名 入試形態と試験内容の例
武蔵野美術大学 一般選抜

→大学入学共通テストや鉛筆デッサン、感覚テスト、小論文など

多摩美術大学 総合型選抜

→写真作品や動画作品といったポートフォリオの提出、面接、小論文、立体造形など

東京造形大学 学校推薦型選抜

→出願書類に基づく書類審査と面接など

日本大学藝術学部 総合型選抜

→面接や小論文、デッサン、実技に関するレポートなど

女子美術大学 総合型選抜

→書類審査や体験プログラム、課題持参による面接など

音楽大学

有名な音楽大学とそれぞれの入試形態と試験内容の例は下記の通りです。

大学名 入試形態と試験内容の例
東京音楽大学 一般選抜

→個別学力検査や面接、小論文、ピアノ課題など

大阪音楽大学 総合型選抜

→書類審査や面接、小論文、専門課題、口頭試問など

名古屋音楽大学 飛び入学制度

→書類審査や実技(課題曲あり)、面接など

国立音楽大学 総合型選抜

→書類審査や面接、演奏実技、口述試験、プレゼンテーション、パフォーマンス、作曲課題など

芸術大学に合格するためのポイント

芸術大学は特別な才能を持った方でなければ合格できないと思うかもしれませんが、ポイントを押さえておくことで有利に受験できるのは確かです。芸術大学に合格するためのポイントを解説します。

情報収集

芸術大学は一般の大学と比較して芸術に関する審査が実施され、入試の仕組みが複雑な傾向にあります。提出物などが細かく指定されるので、事前に情報収集をしたうえで早い段階から準備をしておくのが望ましいです。

オープンキャンパスの学科説明会も情報収集に役立ちます。芸術大学の学生に求められることが説明されるケースもあるので、積極的に参加してみましょう。

実技対策

実技試験では、制作した作品が合格基準を超えなければ、不合格となる恐れがあります。

合格基準を超える作品を制作するには専門のトレーニングが不可欠です。一般的なレベルの大学であれば、高校の美術教員に助言を受けながら訓練することで合格を目指せます。

ただ、高難度の大学を目指す場合は芸術大学に特化した予備校での対策が不可欠です。講師による実演指導を受けてハイレベルな実技をリアルタイムで学ぶ必要があります。

学力検査対策

芸術大学の入試では実技だけを評価するわけではありません。一般の大学と同様に国語や英語などの学力まで選考の基準とすることもあります。

英語科目に関しては、大学入学共通テストの結果や英語の資格・検定を活用することも可能です。

早い段階から共通テストの対策に取り組んだり、資格試験・検定を受験したりすれば、実技試験の対策にも集中しやすくなるでしょう。

英語資格の例として、英検の概要や各級の特徴について知りたい方は下記の記事でご確認ください。

英検は大学受験に使えない? 受験するメリットや共通テストで利用できる大学例を紹介!

小論文対策

芸術大学や美術大学、音楽大学はいずれも小論文試験が課されることもあります。一般的な大学の小論文試験では、少子高齢化や環境問題、教育格差といった社会課題がテーマとして出題されやすいですが、芸術大学では芸術に関するテーマが出題されるのが一般的です。

たとえば、東京藝術大学の音楽学部楽理科では、音楽の共有のされ方の変化について考えを述べさせる小論文試験が実施されました。文字数制限は800字以内であり、記述量はそこまで求められていない印象です。

音楽史の深い知識や、実際に音楽を共有した経験などが試される内容といえるでしょう。芸術大学の小論文試験に合格するには、日ごろから芸術についての独自の考え、鋭い視点を養い、知識と体験に基づき文章で主張する訓練が必要です。

参照:2025年度入試過去問題 音楽学部楽理科(第2回)小論文(東京藝術大学)

小論文の書き方の基本を知りたい方は下記の記事をぜひご覧ください。

手早く合格を取れる小論文の書き方とは?塾関係者が例文付きで解説!

さらに詳しい小論文対策を知りたい方はこちら↓

面接対策

芸術大学や美術大学、音楽大学はいずれも面接が課されることもあり、一般的な大学と同様に志望理由が薄いと不合格になりやすいです。

アドミッションポリシー(入学者の受け入れ方針)で大学が求める人物像を確認したうえで説得力のある志望理由を書きましょう。

たとえば、「従来の枠を超えた芸術の創造を目指す人材」が求められているのであれば、独自の芸術に取り組んだ経験をアピールすれば、大学から興味を持ってもらえるかもしれません。

アドミッションポリシーの概要について気になった方は下記の記事でご確認ください。

総合型選抜対策のキーワード!3ポリシー徹底解説【アドミッション・ポリシーが重要!】

オンライン塾・オンライン家庭教師の活用

芸術大学を目指す場合は実技試験の対策が必要な分、学力検査や小論文、面接などにかけられる時間が限られてきます。

さまざまな種類の試験対策を効率的に行うことが合格の要因となるでしょう。

オンライン家庭教師であれば通塾の時間を大幅に減らし、体力も温存できます。学力検査や小論文、面接の対策を無理なく計画的に進められるので、実技試験の対策にも専念しやすくなります。芸術大学を志望するのであれば、オンライン家庭教師の活用も検討してみてください。

芸術大学卒業後の進路

芸術大学卒業後の進路の例としては、通常の大学と同様に企業や法人などへの就職が挙げられます。アニメーション制作会社やゲーム制作会社、広告会社、建設会社などへの就職を検討しやすいです。芸術関連の大学や美術館、博物館などに就職する選択肢も見受けられます。

職業としては、デザイナーや学芸員、芸術家、作曲家、演奏家、研究者、指導者、教育者になる道が一般的です。

卒業後に大学院に進学してさらに技術を磨くという進路や、海外の大学に進学して活動の場を世界に広げるという進路も検討できます。

まとめ

芸術大学の入試では、実技試験だけでなく小論文や面接の試験も実施される傾向にあります。対策としては、芸術のスキルやセンスだけでなく、文章の書き方やプレゼン力などまで磨いておくことが重要です。

なお、総合大学にも芸術に関する学部や学科、専攻などがあり、芸術を学べる場合もあります。単科大学のほうが芸術を深く学びやすい環境なのは確かですが、難易度の観点から選択肢として検討するのも悪くはありません。

芸術大学の小論文や面接の対策、志望校の選び方について相談したい方は弊社ホームページにて。

芸術方面ではなく、他の進路についても検討している方は下記の記事も参考にしてみてください。

高校生の進路の決め方を解説! 決める上で大切なこと、決める時期は?【進路アドバイス付き】