教育大学とは?学べる内容や入試形態、対策、卒業後の進路などを徹底解説!

教育学や教職に興味がある方であれば教育大学の受験が視野に入ってきます。理想の進路を実現するためにも教育大学について詳しく理解しておくことが大切です。今回は教育大学の概要をはじめ、学べる内容や入試形態、合格のポイント、卒業後の進路などを解説します。教育大学の受験を検討している方はぜひ参考にしてみてください。

教育大学とは?

教育大学とは、教員としての高度な専門性を発揮するために必要な深い学識、卓越した能力を養うための大学です。教職に求められる使命感や責任感、指導力、社会性、対人関係力、学級運営力などを育めます。教育大学で学べる内容や教員免許の取得、総合大学との違いなどについて解説します。

学べる内容

教育大学には基本的に教育学部が設置されており、教育学を幅広く学べる環境です。初等教育専攻、中等教育専攻、特別支援教育専攻などに区分されたり、国語・英語・数学・理科・社会・情報・音楽・美術などの科目別のコースに区分されたりします。児童の発達段階に応じた教育、科目ごとの専門知識などについて学習できるのが一般的です。

大学によっては伝統文化教育専攻といった特殊な区分が設けられることもあり、文化遺産を通じて文化財の内容・技能を伝えて活かす教育を学べることもあります。

教員免許の取得

教育大学では、中学校や高等学校、小学校、幼稚園などに対応する教員資格を取得できるのが一般的です。

教員を目指していなくても、純粋に教育学に興味があって受験する方も見受けられますが、教員免許を取得しないと卒業できない学部もあり、入学後に苦しい思いをするケースも珍しくありません。

教員免許の取得が必須ではない大学もありますが、基本的には教員志望の方が受験する大学という認識を持っておくのが無難です。

総合大学との違い

総合大学でも教育大学と同様に教育学部が設けられていることもあり、児童教育専攻や英語教育専攻、心理学専攻などで教育について学び、教員資格を取得することも可能です。

ただ、教育大学のほうが専攻のバリエーションが豊富なので、教育分野の中でも特に興味のある学問をより深く学びやすいといえます。

特定の教育課題を解決したい方、特定の指導力を習得したい方などであれば、教育大学が適しているでしょう。

全国の主な教育大学の入試形態と試験内容の例

教育大学についての概要をお伝えしました。受験を検討するにあたって入試形態と試験内容の例が気になった方もいるでしょう。

続いては、全国の主な教育大学の入試形態と試験内容の例をご紹介します。

大阪教育大学:一般選抜

大阪教育大学の一般選抜は前期日程と後期日程で試験内容が異なります。

いずれも大学入学共通テストで各教科の基礎的な知識の習得度を測定するのは共通していますが、前期日程では小論文、後期日程では面接が課されます。小論文では提示された資料に対する理解力や思考力、論理的構成力、文章表現力などが評価の対象とされ、面接では論理性や表現力、学校教育への熱意・適正などが評価の対象です。

出願期間は1月中旬の大学入学共通テストが実施されたあとの1月下旬~2月初旬となっています。前期日程の試験期日、合格発表は2月下旬、3月初旬となっており、後期日程の試験期日、合格発表は3月中旬、3月下旬となっています。

愛知教育大学:学校推薦型選抜

愛知教育大学の学校推薦型選抜では、大学入学共通テストや調査書、学びの履歴、推薦書、志望理由書、および各専攻・専修・コースで定める要件などの結果を総合して選抜されます。

いずれの専攻・専修・コースにも小論文や実技検査はありませんが、アドミッションポリシーに基づく面接試験(AP試験)が実施されます。大学が求める学生像に必要な学力を面接の中で測定する試験です。

出願期間は11月初旬~中旬、試験期日は12月初旬となっており、2月初旬~中旬あたりに合格発表が行われます。

奈良教育大学:総合型選抜

奈良教育大学の総合型選抜では、アドミッションポリシーについて確認・評価するために、専攻・専修ごとに特別な試験が用意されています。

たとえば、教育発達専攻・教育学専修では、教育に関する資料を提示して講義を行ったあとにレポートが課され、レポート内容に基づき集団面接の形式で質疑応答が行われます。

教科教育専攻・数学教育専修では、数学の問題が課され、解決過程について面接形式でホワイトボードや模型などを使ったプレゼンテーションが求められます。

出願期間は9月初旬~中旬、試験は第一次選考が10月中旬、第二次選考が1月中旬(大学入学共通テスト)となっており、2月初旬あたりに最終合格発表が行われます。

その他

そのほかの教育大学の入試形態と試験内容の例は下記の通りです。

大学名 入試形態と試験内容の例
北海道教育大学 一般選抜

→大学入学共通テスト、個別学力検査など

宮城教育大学 総合型選抜

→書類審査や個人面接、実技検査、プレゼンテーションなど

鳴門教育大学 学校推薦型選抜

→推薦書や自己推薦書の提出、面接、実技検査など

上越教育大学 一般選抜

→大学入学共通テスト、小論文、個別面接、集団面接、調査書など

京都教育大学 学校推薦型選抜

→推薦書や調査書、教員志望動機書、小論文、面接、実技、美術・工芸作品、スポーツ業績調書など

兵庫教育大学 総合型選抜

→調査書や教員志望理由書、活動実績報告書、学習計画書、個人面接、プレゼンテーションなど

福岡教育大学 一般選抜

→大学入学共通テストや個別学力検査、調査書など

教育大学に合格するためのポイント

教育大学は教員を養成する大学であることがほとんどであるため、求められる学生像が比較的わかりやすく、ポイントを押さえて対策すれば合格の可能性を高めやすいです。引き続き、教育大学に合格するためのポイントを解説します。

情報収集

教育大学では、一般入試以外に総合型選抜や学校推薦型選抜に対応している場合がほとんどであり、情報収集によって相性のよい入試を選びやすくなっています。

いずれの入試形態にも対応できるように、各大学の入試要項で具体的な試験内容を早い段階から把握して対策することが重要です。

基本的には大学のホームページで入試情報のコーナーに対策に必要な情報が集約されています。オープンキャンパスの実施、申し込みなどの情報まで案内されていることもあるので、率先して参加を検討してみましょう。

一般入試対策

教育大学の一般入試では、大学共通テストの結果を評価する場合が多いです。したがって、一般的な大学を受験する場合と同様に、大学共通テストの対策を行うことが重要になります。

教科学習を進めながら随時模試で実力を確かめ、弱点を克服していきましょう。

個別学力検査が実施される場合もあるので、過去問で出題傾向、難易度を把握しておくことも重要です。

過去問は大学のホームページで解答とともに公開されていることもあります。早い段階で取り組んでみましょう。

参照:令和6年度入試問題(北海道教育大学)

推薦入試対策

教育大学の推薦入試では、特にアドミッションポリシー(入学者受入方針)に基づき評価をする大学が多いです。

たとえば、奈良教育大学では「子どもの成長と発達に寄り添い関わっていく」「教育を通じてよりよい社会を築いていく意欲をもつ人」などをアドミッションポリシーとして掲げています。

参照:入学者受入方針(奈良教育大学)

大学ごとに求める学生像は細かく異なりますが、いずれにせよ志望理由書や面接で教員としての資質、強い意思をアピールすることが重要です。子どもを指導した経験、自分が教員に向いていると思った根拠、教育の大切さを実感したエピソードなどを確保しておきましょう。

アドミッションポリシーや総合型選抜、学校推薦型選抜の概要や対策などを知りたい方は下記の記事もぜひお役立てください。

総合型選抜対策のキーワード!3ポリシー徹底解説【アドミッション・ポリシーが重要!】

総合型選抜入試とは? 入試内容やスケジュール日程、一般選抜入試との違い、対策などを解説!

学校推薦型選抜入試とは?種類や対策、受かる人、落ちる確率などを解説!

小論文対策

教育大学の推薦入試では、小論文が実施されることもあります。

教育大学で出題される小論文は、基本的に教員としての指導力や教育現場における課題解決力を試すテーマが多い傾向です。

ICTの活用や教育格差、勉強の目的などが例として挙げられます。

根本的な対策としては、教育に関するテーマについて日頃から深く向き合い、自分の考えを持っておくことが重要です。そのうえで小論文の基本的な書き方さえ押さえておけば合格の可能性が高まるでしょう。

小論文の書き方や教育学部の小論文テーマの傾向、対策について詳しく知りたい方は下記の記事もぜひ参考にしてみてください。

手早く合格を取れる小論文の書き方とは?塾関係者が例文付きで解説!

【2024年版】教育学部の小論文テーマの傾向と対策

教育大学の卒業後の進路

教育大学の卒業後の進路は、基本的に幼稚園や小学校、中学校、高校の先生になるのが一般的です。ただ、必ずしも教師になる必要はありません。

たとえば、令和6年度における宮城教育大学の卒業生(347人)の進路は下記の通りです。

進路 人数
教員 249人
進学 26人
保育士 5人
公務員 12人
企業 46人
そのほか 9人

教員だけでなく公務員や企業などで就職する方も見受けられます。教育の考え方がさまざまな職場で求められているでしょう。

参照:学部卒業者の就職状況(宮城教育大学)

まとめ

教育大学は教員を養成するだけでなく、指導的な立場で活躍できる人材を輩出する大学です。

合格するには、学力だけでなく教員としての資質や、教育に対する熱意などが問われます。

総合型選抜や学校推薦型選抜などでは、志望理由書や面接、小論文の対策を万全に期して受験に臨まなければなりません。

教育大学の受験対策に不安がある方、推薦入試の仕組みを詳しく知りたい方などは、弊社ホームページにて。

教育関係方面ではなく、他の進路についても検討している方は下記の記事も参考にしてみてください。

高校生の進路の決め方を解説! 決める上で大切なこと、決める時期は?【進路アドバイス付き】