素数は数学を学ぶうえで避けられない概念ですが、結局どのような数なのかわかりづらく、曖昧に理解している方も多いでしょう。数学の成績を高めるためにも正確に学ぶことが重要です。今回は素数の意味や見分け方、覚え方、求め方、種類などを解説します。問題の例も掲載するので、ぜひお役立てください。
素数とは?
早速、素数の全体像がわかるよう、素数の意味や見分け方、覚え方、研究状況などを解説します。
意味
素数とは、1およびその数以外の数で割り切れない自然数(0を含まない整数)です。1とその数の積でしか表現できない数という解釈もできます。
たとえば、100までの自然数で素数に該当する数は下記の通りです。
2・3・5・7・11・13・17・19・23・29・31・37・41・43・47・53・59・61・67・71・73・79・83・89・97
2は1と2以外の数で割り切れませんし、1と2の積でしか表現できません。3も1と3以外の数で割り切れませんし、1と3の積でしか表現できないとわかります。
見分け方
素数はたくさんあり、膨大な数の中からどのように見分ければよいのか、混乱する方もいるでしょう。
素数の見分け方について要点をまとめると下記の通りです。
【自然数かどうか判断する】
前提として素数は自然数です。5.5や1/3など、少数や分数といった自然数ではない数は、素数ではないことを瞬時に判断できます。
【偶数かどうか判断する】
偶数は1以外に2で割ることができるため、基本的に素数ではないとわかります。たとえば、4は1と4以外に2で割り切れるため、素数ではありません。
【3の倍数かどうか判断する】
3の倍数は3で割ることができるため、基本的に偶数と同様に素数ではないとわかります。たとえば、9は1と9以外に3で割り切れるため、素数ではありません。ちなみに各位の数字を足した数が3の倍数であれば、元の数も3の倍数です(例:12は1+2が3なので3の倍数)。
覚え方
素数の覚え方として検討できるのは語呂合わせを意識することです。
1~10、11~20、21~30のように10ごとの間隔で区切って、区切られた区間の素数を並べて語呂合わせを考えます。
区間ごとの素数と語呂合わせの例は下記の通りです。
素数 | 語呂合わせ |
2、3、5、7 | 兄さんがセブンにゴー |
11、13、17、19 | 11時~13時に稲刈りに行く |
23、29 | 兄さんがにっこり |
自分でイメージが湧きやすい語呂合わせを考えることで、素数がスラスラと思い出せるようになるでしょう。
研究状況(新しい素数)
紀元前300年頃にギリシャの数学者ユークリッドが、素数は無限個存在することを証明しました。
現在も有志のグループによる素数の研究が続いており、近年には新しい最大の素数が発見されています。
新しい素数は「2の1億3627万9841乗引く1」と表記される数であり、十進法における桁数は4100万桁です。今後も新しい最大の素数が発見・更新されるのか期待が高まります。
素数の求め方
桁の少ない小さな素数は簡単に見つかりますが、大きな素数を探すのが難しいと思った方もいるかもしれません。
大きな素数の求め方として簡単な裏技があります。素数の計算サイトを使う方法です。
出力したい素数の桁数を指定して適当な数値を入力すると、入力した数値以上の最初の素数を表示させられます。なお、桁数が多くなると計算時間は長くなる傾向です。
素数の計算サイトで大きな素数を求めて、本当に1とその数でしか割り切れないのか確かめてみると、素数についての理解も深まるかもしれません。
素数はいつ習う?
素数を習うタイミングは主に小学生と中学生の時期です。事前に習う時期を把握しておけば、予習や復習のタイミングがわかり、素数について確実に理解しやすくなるでしょう。
引き続き、素数を習うタイミングの詳細について解説します。
小学生
素数は小学5年生の倍数と約数の単元で初めて出題されます。
約数はある整数を割り切れる整数です。たとえば、6の約数は1、2、3、6となります。その一方で倍数はある数を整数倍にした数です。3の倍数は0、3、6などが該当します。
「自然数の中で1とその数自身以外に約数を持たない数」を探す問題などで、素数の存在について認知させる流れです。
その後の数学でつまずかないよう、小学生のタイミングで最低限、10以下の素数が2、3、5、7であることを理解できるとよいでしょう。
中学生
中学1年生になると素因数分解、中学3年生になると平方根の単元などでも、素数が必要な知識となります。
素因数分解は数字を素数のかけ算の式で表現する計算です。10という数字は、2×5という素数のかけ算の式に分解できます。
平方根は2乗するとある数になる数字です。9を素因数分解すると3×3というかけ算の式に分解できます。9は3の二乗であることがわかり、3は9の平方根を意味します。
中学3年生の数学につまずかないように、素数の意味を事前に復習しておくことが大切です。
素数の種類
素数についてさらに詳しくなるには、素数の種類について知るのもおすすめです。さまざまな歴史上の人物が主張した素数が存在しており、人名がつけられています。
ここではメルセンヌ素数とソフィー・ジェルマン素数をご紹介します。
メルセンヌ素数
メルセンヌ素数は、17世紀にフランスの修道僧マラン・メルセンヌが提唱した素数です。
2のn乗-1の形であらわされ、nは素数としています。
たとえば、2の2乗-1で表される3、2の3乗-1で表される7、2の5乗-1で表される31などがメルセンヌ素数です。
最大の素数は2233万8618桁に及ぶといわれています。
ソフィー・ジェルマン素数
ソフィー・ジェルマン素数は、フランスの数学者ソフィー・ジェルマンにちなんで名づけられた素数です。
pと2p+1の両方が素数であるときのpがソフィー・ジェルマン素数となっています。
たとえばp=3の場合、2×3+1は7となり、pと2p+1の両方が素数であり、3は素数であると判断されます。
ソフィー・ジェルマン素数の例として、2, 3, 5, 11, 23, 29, 41, 53, 83, 89, 113, 131…などが該当し、最大の素数は388342桁にも及ぶとのことです。
素数に関するよくあるQ&A
素数について理解が深まったのではないでしょうか。素数についてさらに理解を深めるために、素数に関するよくある疑問についてQ&A形式で回答いたします。
Q1.1は素数か、素数でないのか?
A1.1は素数ではありません。
素数は、1およびその数以外の数で割り切れない自然数です。つまり、素数は約数を2つだけ持っていることになります。
その点、1は約数が1だけであり、1つしか持っていません。
素数の性質に該当しないため、1は素数でないことになります。
Q2.素数に負の数は含まれる?
A2.負の数は含まれません。
素数は自然数であるという決まりがあります。自然数はものの個数を数えたり、順番を表したりする数です。負の数、マイナスの数は該当しません。
したがって、自然数である素数には負の数、マイナスの数は含まれないことになります。
Q3.0は素数か、素数でないのか?
A3.0は素数ではありません。
自然数は0を含まない正の整数です。したがって、0は自然数ではなく、自然数である素数にも該当しません。
Q4.素数は何に使う?
A4.素数は暗号の分野で使うことが知られています。
100桁を超えるような巨大な素数だと、素数かどうかを見極めるのが困難です。コンピューターでも素数かどうかを見極めるのに時間がかかるといわれています。
したがって、素数かどうかを見分けるのが難しいという性質を活かして、インターネットや電子マネーなどの情報保護に応用されるようになりました。
Q5.最小の素数は?素数でない最小の数は??
A5.最小の素数は2です。
1のように感じる方もいるかもしれませんが、1は素数ではありません。2と3が素数であり、4は素数ではありません。
したがって、素数でない最小の数は4です。
素数を使う問題例
素数について理解を深めるには問題演習も重要です。素数を使う問題にも挑戦してみましょう。ここまで解説した内容を意識すれば簡単に解ける問題をピックアップしてみました。素数の知識を定着させるためにぜひ参考にしてみてください。
問題1.15までの数のうち素数に該当する数字は?
答え 2,3,5,7,11,13
問題2.30を素数だけで成り立つ数式で表すと?
答え 30=2×3×5
問題3.169の平方根である素数は?
答え 13
問題4.-5は素数である。〇か×か?
答え ×
まとめ
算数や数学では、素数のように1つの考え方をもとに新たな概念を学ぶことが多いです。前提知識の理解不足で、算数や数学が苦手になることもあります。
すでに苦手意識がある方は、早急につまずいているポイントを特定して、対策することが重要です。
オンライン家庭教師のようにマンツーマンで受けられるレッスンであれば、苦手の原因をスムーズに特定して補習の計画を提案してもらえます。
オンライン家庭教師で算数や数学の苦手意識を克服したい方は弊社ホームページにて。
数検のように、自分の実力に応じた級を選択して、少しずつ算数や数学を学べる検定もあります。算数や数学の苦手意識を克服したい方は、ぜひ数検の取得も検討してみてください。
数検の概要をはじめ、難易度やメリット、対策などについては下記の記事で確認できます。
数検とは?レベル・難易度やメリット、優遇される高校・大学の例、対策などを紹介!
中学受験を目指しているけれど算数が苦手という方は下記の記事もご覧ください。