探究学習(活動)とは?身につくスキルや流れ、テーマの決め方などを解説!

子どもたちが時代の変化に適応していけるよう、探究学習(探究活動)の取り組みが推進されています。探究学習の意味を理解して学びの機会を充実させることで、より深い人生を築くための能力を習得できるでしょう。今回は、探究学習の概要について把握できるように、意味や習得できるスキル、流れ、テーマの決め方などを解説します。

探究学習とは?

まずは探究学習の意味がわかるように、文部科学省による「総合的な学習(探究)の時間」の定義、「総合的な学習の時間」との違いについて解説します。

総合的な学習(探究)の時間の定義

文部科学省のホームページでは総合的な学習(探究)の時間について下記の通り定義しています。

”総合的な学習(探究)の時間は、変化の激しい社会に対応して、探究的な見方・考え方を働かせ、横断的・総合的な学習を行うことを通して、よりよく課題を解決し、自己の生き方を考えていくための資質・能力を育成することを目標にしていることから、これからの時代においてますます重要な役割を果たすものである。”

引用:総合的な学習(探究)の時間(文部科学省)

総合的な学習(探究)の時間の定義をふまえると、探究学習は探究的な見方・考え方に基づき行う横断的・総合的な学習です。課題解決をして自己の生き方を考えていくための資質・能力を育成することを目指します。

総合的な学習の時間と総合的な学習(探究)の時間の違い

総合的な学習の時間は、平成11年の学習指導要領改訂で創設されました。

小中学校での成果を生かしつつ、より探究的な活動を重視するために、平成30年3月の学習指導要領の改訂において、高校における名称が「総合的な探究の時間」として位置づけが見直されました。

総合的な学習の時間では、課題を設定して解決していくことで、自己の生き方を考えていく流れでした。

その一方で総合的な探究の時間では、自己の在り方・生き方と一体的で不可分な課題を発見し、解決していくことを目指します。

探究学習で身につく力

探究学習では、自己の在り方・生き方を考えながら、課題を発見して解決していく能力を習得できます。

課題解決力は複合的な能力の組み合わせで成り立ち、問いを立てるための「仮説力」や仮説に基づきアイデアを試す「検証力」、検証結果を分析して本質を見抜く「分析力」、課題解決の道筋をチームに伝えて巻き込む「プレゼン力」、課題解決を通して自分の生き方を充実させる「自己実現力」などが挙げられます。

企業・大学が求める能力との関係

課題解決力は、企業や大学が最も重視する能力です。企業では売上増加・コスト削減などの課題を解決する人材、大学では社会課題の解決に向けて真剣に学業・研究に励む人材を求めています。

探究学習で課題解決能力を習得しつつ実績を残すことで、企業の採用選考や大学の入試選考などでほかの受験生より評価してもらえる可能性が高まります。

総合型選抜入試や学校推薦型選抜入試で、大学が重視する能力をうまく伝えるには、志望理由書や活動報告書の書き方を知ることも重要です。書き方について詳しく知りたい方は下記の記事を参考にしてみてください。

総合型選抜・学校推薦型選抜入試の志望理由書の書き方を徹底解説!【例文あり】

総合型選抜・学校推薦型選抜入試における活動報告書の書き方を徹底解説!【例文あり】

総合型選抜入試を制するためには書類審査と小論文の早期対策が必須!

探究学習の流れ

探究学習について理解するには、一連の基本プロセスに着目する必要があります。引き続き、探究学習の基本的な流れについて解説します。

問いを立てる(課題を設定する)

体験活動や場面のシミュレーション、資料の比較、グラフの読み取り、ブレインストーミング、専門家へのヒアリングなどで課題を設定します。現在の状況と理想像の対比を意識すると問いを立てやすくなります。

情報収集・調査する

見学や探索、観察、交流、アンケート、実験など、あらゆる手段を駆使して課題解決に必要な情報を収集・調査します。単にネット検索で入手する情報は信憑性が低くなりがちです。新聞や公的機関など信頼性の高い媒体から最新情報を入手する必要もあります。

分析・考察する

時系列化やグラフ化、マップ化、ランキング化、ベン図化など、集めた情報をさまざまな手法を駆使してわかりやすく可視化して分析します。可視化で見えてきたアイデアをまとめて、課題の本質や解決の方法について考察します。

まとめて発表する

探究活動の成果を文章や図表でレポートとしてまとめて発表します。参考文献を細かく提示することでレポートの信頼性を高められます。発表については、企業や大学で主流となっているプレゼンツールを活用するのが望ましいです。

振り返りで次の問いにつなげる

探究活動で得られた経験を振り返り、将来自分が新たに解決したい次なる問いや、課題解決に向けてこれから身につけるべき具体的な能力について考えます。志望校まで考えることで進路選択の精度も高められるでしょう。

探究学習におけるテーマの決め方

探究学習でテーマの設定を誤ると、その後の活動でモチベーションが高まらず、成果を出しづらくなります。ここでは、探究学習におけるテーマの決め方がわかるように、基準や失敗しないためのポイントを解説します。

テーマ選びの基準

テーマ選びの基準として押さえておくべきなのが、興味・社会性・実現可能性の3つです。

興味が湧かない内容であれば、探究学習への情熱が失われ、学習が形骸化します。シンプルに自分がワクワクするかどうかを基準にしましょう。

興味があるテーマであっても社会性のないテーマであれば自己満足で終わり、成果の重要性を周囲に理解してもらいづらくなります。推薦入試でのアピールを検討するのであれば、社会的に意義のあるテーマを選びましょう。

社会性のあるテーマであっても、高校生のスキルでは解決案を導き出すのが難しいこともあります。途中で挫折しないように、自分が無理なく取り組める実現可能性が高いテーマを選ぶことも重要です。

失敗しないためのポイント

ありきたりなアイデアは受け入れられやすい一方で、前例のないアイデアは批判の対象になりやすい傾向にあります。先生や友達からアイデアを批判されたときは、誰も挑戦していないテーマである可能性もあります。

批判されたからといって簡単にあきらめてしまうと、本当に価値のあるテーマが失われてしまうかもしれません。

自分のアイデアに自信を失ったときは、家族も含めて複数の人に客観的な意見をもらうなどして、本当に取り組む価値があるテーマかどうか慎重に判断しましょう。

探究学習のテーマのジャンル例

探究学習のテーマ選びの基準をお伝えしましたが、テーマがうまく思い浮かばない方もいるかもしれません。テーマのジャンルを把握しておくだけでも、独自のアイデアが思い浮かびやすくなります。引き続き、探究学習のテーマのジャンル例をご紹介します。

探究学習のテーマは、現代の社会問題や国際問題、先端技術に基づくものが多く、大学入試の小論文でも頻出のテーマとなっています。そのため、テーマ選びの段階から、志望大学・学部の方針や出題傾向を意識しておくことが重要です。

小論文学部別テーマはこちらを参考にしてみてください。

社会課題(SDGs・環境・人権)

環境破壊や戦争などによって、私たちの暮らしは常に脅かされています。環境・人権を含むSDGs(持続可能な開発目標)に関するテーマは、これから未来を担う高校生も向き合うべきテーマです。実生活に目を向けると、フードロスや電気代高騰など、身近に取り組める課題が見つかります。

科学技術(AI・先端技術)

AIや先端技術の活用が世界中で進んでおり、人々の暮らしがより豊かになっています。ただ、データセンターからの排ガスや、AIを使いこなせない人の失業など、新たな課題も浮き彫りになってきています。企業や大学でもAIの活用がテーマとされやすく、高校生の段階で先端技術の可能性、課題を探究しておけば、就活や入試でアピールしやすくなるでしょう。

地域資源(観光・特産・伝統文化)

過疎化による地域社会の機能低下を解決するには、地域資源の有効活用が挙げられます。観光資源や特産品、伝統行事の活用を探究すれば、高校生の取り組みによって地域から日本を活性化できる可能性もあります。学校の周りにある店舗やスポット、付近で実施されているイベントなどに目を向ければ、思わぬテーマが思い浮かぶかもしれません。

国際理解(異文化・言語・国際協力)

日本にはたくさんの外国人が観光や労働を目的に訪れており、異文化・言語・国際協力に関する課題が生じ始めています。一部の外国人のマナー違反に困惑する人々もいる一方で、日本経済の活性化に期待を寄せる人々もいます。国際理解を深めるための探究学習を行うことで、外国人と共生するための新たな道が開けるかもしれません。

高校における探究学習の例

高校における探究学習の例として、岐阜県立多治見高等学校の取り組みが挙げられます。岐阜県立多治見高等学校では、全クラスが木曜6限に探究学習に取り組んでいます。

総合的な探究の時間は、学年に応じて3つのステージに分けられているのが特徴です。

学年 活動
1年生 ・自分が明らかにしたい問いを見つける

・他者の考えについて疑問点を問う

2年生 ・ゼミで問いを検証してレポートを作成する

・他者からの質問をもとに問いを深める

3年生 ・学びたいことや目指す場所について語る

・自分の考えについて客観的かつ論理的に書く

ゼミの例としては「多治見市は災害に強いのか」「多治見高校の行事をアニメにしよう」などがありました。

参照:Have a Dream Projectとは?(岐阜県立多治見高等学校)

探究学習に関するよくある質問

探究学習の全体像についてイメージが湧いてきたのではないでしょうか。さらに理解を深めるために、探究学習に関するよくある質問にQ&A形式で回答します。

Q1.探究学習を成功させるコツは?

A1.失敗しても落ち込まないことです。

仮説が外れて予想と異なる結果が出ると、落ち込んでしまうかもしれません。ただ、仮説が外れても、探究学習が終わるわけではありません。むしろ、新たな発見のスタートになります。

新しい情報を探して再び仮説を打ち立て、試していない分析方法を導入して粘り強く検証を続けましょう。試行錯誤のプロセスは、企業の採用面接や大学入試の書類選考などでアピールするのにも役立つはずです。

Q2.探究学習は意味ない?

A2.探究学習は人生の基盤となる学習であり、主要教科と同じくらい重要です。大学入試においても、小論文を書くにあたって探究学習の経験は無駄にならないでしょう。

主要教科を学べば受験で有利になるのは間違いありません。しかし、偏差値の高い大学に合格しても、やりたいことが見つからず大学をやめてしまう方もいます。

探究学習で自分の人生を通して解決したいテーマを見つけることができれば、大学に入学したあとも情熱的に学問に打ち込めます。充実した大学生活を送るためにも探究学習に本気で取り組みましょう。

社会に出ても、自分で課題を見つけ、解決する力が求められます。先を見据えて取り組んでみましょう。

まとめ

探究学習は主要教科の学習と違って正解がない問いの答えを追い求める学習です。社会経験のない高校生だとやり方がわからず、大学入試でアピール材料を作れる貴重な機会を無駄にしてしまう恐れがあります。

受験を見据えて本格的に探究学習に取り組むのであれば、入試の専門家に適宜相談できる環境を用意しておくのが望ましいでしょう。

探究学習の正しい方法についてさらに詳しく知りたい方、志望理由書や活動報告書などに書ける探究学習について相談したい方は、Axisのオンライン家庭教師のホームページをぜひご覧ください。

進路の決め方に迷っている方は下記の記事もぜひ参考にしてみてください。

高校生の進路の決め方を解説! 決める上で大切なこと、決める時期は?【進路アドバイス付き】