学校推薦型入試で基礎学力テストの導入事例が話題となっています。今回は、基礎学力テストを採用した学校推薦型入試の概要をはじめ、メリットや各大学の導入事例をご紹介します。導入事例をもとに今後求められる対策も解説するので、学校推薦型入試の受験を検討している方は参考にしてみてください。
目次
学校推薦型選抜入試に学力は重要?
学校推薦型選抜入試とは、高等学校長の推薦に基づき、受験生の取り組みから学習意欲や将来性などを総合的に評価する大学入試です。大学の出願条件を満たせば受験できる公募制と、大学が指定した高校の生徒しか受験できない指定校制に分かれます。
おおよそ10月~11月が出願期間となっており、11月に試験が実施され、年内に合格発表が行われる流れです。
試験方法は学部によっても異なりますが、調査書を含む書類審査や小論文、面接などが主流です。従来の学校推薦型選抜入試では、学力試験が課されないパターンがほとんどでした。意外かもしれませんが、これまで各科目における学力は重要視されてこなかったのが実情です。おそらく高等学校長の推薦を受ける時点で、各科目における学力が保証されるからなのでしょう。
しかし近年になって、首都圏の有名大学が学校推薦型選抜入試で学力テストだけを課す受験方式も導入し始めています。
試験方式をシンプルにすることで受験ハードルを下げる狙いがあるようです。年内に受験生を獲得するための争奪戦が始まり、学力テストだけを課す大学が増えてくる可能性もあります。
したがって、今後の学校推薦型選抜入試では学力が必要とされる可能性も極めて高いです。トレンドを予測して早めに対策すれば、推薦入試をうまく活用して受験を有利に進められるかもしれません。学力重視型の推薦入試について理解を深めて損はないでしょう。
基礎学力型推薦入試のメリット・デメリット
現状の情報をふまえると、基礎学力型推薦入試にはメリット・デメリットの両方が読み取れます。
基礎学力型推薦入試は、年内に合格が発表され、しかも他大学の併願が認められる傾向です。受験科目が少なく、面接や小論文対策も不要な傾向にあり、受験ハードルも低くなっています。つまり、先に滑り止め大学の入学切符を入手してから難関校の受験に専念することも可能です。
ただ、面接や小論文なしだと、大学に相応しい人材かどうか、正確に判定しにくいでしょう。仮に滑り止めとして入学する場合、ミスマッチが生じるかもしれません。
学校推薦型選抜入試で基礎学力テストを課した大学の例
学力を試す学校推薦型入試について理解を深めるには、大学の導入事例を知ることが近道です。
首都圏において、学校推薦型選抜入試で基礎学力テストを課した大学の例としては、東洋大学と大東文化大学が挙げられます。
引き続き、東洋大学と大東文化大学の導入事例をご紹介します。
東洋大学
東洋大学は2025年度の学校推薦型選抜入試から、2教科2科目の基礎学力型試験を導入しました。
試験科目は英語・国語または英語・数学です。英語は、英検を含む英語外部試験の成績も活用できます。同大学の一般選抜と他大学の併願も可能です。
テストは大学入試センター試験と出題傾向が似ており、センター試験よりやや難度を低くした出題といわれています。仮に不合格になった場合も一般選抜受験にスムーズに挑戦しやすい入試設計のようです。
入試日程 | 2024年12月1日 |
出願期間 | 2024年11月1日~11月8日 |
合格発表 | 2024年12月10日 |
入学手続き締切日 | 1次手続き:2024年12月17日
2次手続き:2025年2月28日 |
大東文化大学
大東文化大学では2025年度から、高校の調査書と学校長推薦書で出願し、国語・英語の2科目を受験する公募制の基礎学力テスト型を導入しました。
英語・国語ともにマーク式です。英語は外部入試の結果を活用できます。面接や口頭試問はありません。採用されると授業料が4年間免除されます。他大学・同大学の一般選抜と併願可能です。
なお、基礎学力テスト型だけの実施になったわけでなく、多面的評価型試験も実施されています。多面的評価型試験では、従来の学校推薦入試のように、書類審査や面接、小論文などで選考されます。
入試日程 | 2024年11月24日 |
出願期間 | 2024年11月1日~11月11日 |
合格発表 | 2024年12月2日 |
入学手続き締切日 | 1次手続き:2024年12月16日
2次手続き:2025年2月28日 |
首都圏以外でも推薦入試に科目受験が課される?
首都圏の推薦入試で学力テストが導入されている一方で、首都圏以外の動向が気になった方もいるでしょう。
実は近畿圏や中京圏の私大入試では推薦入試で科目受験を課す試験スタイルが定着しています。
たとえば、近畿大学は個別学力試験の得点と出身高校の調査書を総合して合否を判定する試験制度を実施しています。
首都圏で話題になったことで、すでにほかのエリアで導入していた大学も注目されやすくなり、全国的なトレンドに発展する可能性も十分想定できるでしょう。
学校推薦型選抜入試における学力試験の対策
首都圏の大学を例に挙げて学校推薦型選抜入試の概要をご紹介しました。学力を試す推薦入試の仕組みが理解できたのではないでしょうか。
新たな推薦入試を勝ち抜くために、どのような対策が必要なのか気になるところですよね。
引き続き、学校推薦型選抜入試における学力試験の対策を解説します。
英語外部試験で好成績を出しておく
基礎学力型の推薦入試では、英語外部試験のスコアを英語試験の得点として換算してもらえる場合があります。つまり、英語外部試験で好成績を出しておけば、推薦入試で残りの科目対策に専念しやすくなるということです。
なお、英検は推薦入試以外でも役立ちます。大学受験に向けて英検を受けるメリットについて詳しく知りたい方は下記の記事もご覧ください。
英検は大学受験に使えない? 受験するメリットや共通テストで利用できる大学例を紹介!
志望大学の合格者に指導してもらう
基礎学力テストを新たに導入する大学であれば、試験の難易度を正確に把握するのが難しい場面もあるでしょう。ただ、志望大学の学部・学科に求められる学力に到達していればよいことは確かです。
したがって志望大学の合格者に、学部・学科に必要な学力のレベルを共有してもらうのが合理的でしょう。オンライン家庭教師であれば全国から講師をマッチングできるので、志望大学出身の講師が比較的簡単に見つかります。
学力重視の推薦入試を受ける際は、オンライン家庭教師の利用も対策として検討してみてください。
まとめ
今後の学校推薦型選抜入試では、シンプルな科目受験で年内に滑り止めを確保し、第一志望校の学習に専念していく受験スタイルを選択できそうです。
ただ、面接や小論文を課す推薦入試がなくなると決まったわけではありません。従来の多面的評価型を臨機応変に選び分けることも重要です。
自身に適した受験方式を正しく選択するには、受験のスペシャリストにアドバイスを受けるのもおすすめです。推薦入試の受験方式に迷っている方は弊社ホームページにて。
多面的評価型の受験方式を検討する方は、下記の記事も参考にして小論文や書類審査の対策をしてみてください。
手早く合格を取れる小論文の書き方とは?塾関係者が例文付きで解説!