英語で中学受験?最新の中学入試傾向と知っておくべき対策

近年、中学受験において英語入試を導入する学校が増加しており、その背景や対策について注目が集まっています。2024年入試では、首都圏の中学校約140校において、英語を利用した入試が行われています。

本記事では、英語入試が注目される理由や主な入試形式、必要となる英語力の水準、さらには効果的な学習プランなどを解説し、受験生と保護者の方が適切に準備できるよう情報を整理します。

特に大学入試での英語4技能評価の動きや小学校での英語必修化など、英語教育全体の流れが中学受験にも大きく影響を及ぼしています。志望校を選ぶ際に英語入試の有無を考慮するケースが増え、早期学習の重要性が一段と高まっています。受験生一人ひとりの英語力や目標に合わせた学習戦略が求められる時代だからこそ、最新のトレンドを押さえた対策が欠かせません。

英語入試が注目される背景

英語入試が増える背景には、小学校の英語教育や大学入試改革など、複数の要因が影響しています。

従来は国語・算数・理科・社会の4科目が中学受験の中心でしたが、社会のグローバル化や小学校英語の教科化などに伴い、英語の重要度が拡大しています。大学入試改革でも英語4技能が重視される傾向は強く、それが中学受験の段階にも波及していると考えられます。さらに、英語力の早期習得が将来の進路選択やグローバルな視野獲得に有利とされ、学校側も英語教育を強化する動きが盛んになっています。

小学校英語の教科化の影響

小学校で英語が必修化され、週あたりの授業時間数も増える流れが進むにつれて、子どもたちはより早い段階で英語に触れる機会を得るようになりました。こうした背景から、中学校受験でも英語を試験科目として導入している学校が増加しており、幼少期から英語学習に力を入れる保護者も少なくありません。結果として、英語入試は「特別な受験方式」から「一般的な選択肢」の一つとして認知されつつあります。小学生であっても外部の英語試験を受けることも多くなってきています。

大学入試改革と中学受験

大学入試では英語4技能を評価する動きが顕著になっており、英検®やTOEFLなどの外部試験結果を活用する制度が拡大しています。この流れは中学受験にも影響を与えており、高校・大学受験で求められる英語力を中学入試の段階から確認しておきたいという学校側のニーズが高まっているのです。中学校受験の対策という点でも、早期に英語4技能をバランスよく鍛える必要があると考える保護者が増えています。

入試制度の多様化

従来の国語・算数・理科・社会だけでなく、英語を含む多科目入試や英語資格を活用する入試制度など、受験制度が多様化しています。これにより受験生は自身の得意分野を生かせる選択肢が増える一方、情報収集と準備の重要性も高まっています。志望校によっては英語力をアピールできることで合格の可能性を高められるケースもあるため、戦略的に英語入試を検討する受験生が増えているのが現状です。

帰国生入試の増加

グローバル化が進む現代社会において、海外で活躍する日本人が増加しています。それに比例して、海外から帰国する子女の数も増えており、10数年前と比べてその数は2倍以上になったとも言われています。こうした背景から、帰国生入試を実施する中学校も増加の傾向にあります。

帰国子女は英語を日常的に使用しているケースが多いため、入試では英語を活用する形式が主流です。海外でも通用するグローバルな人材を求める学校側の意向もあり、今後も帰国生入試を導入する学校はさらに増えていくと考えられます。

このような流れを受けて、英語を活用する入試形態は、帰国生入試にとどまらず、一般入試にも今後広がっていく可能性が高いと言えるでしょう。

英語入試の主な形式と特徴

学校によって異なる英語入試の形式は、受験生の得意科目や英語力に応じた受験戦略を立てるうえで重要です。

英語入試にはさまざまなタイプがあり、どの方式が自分に合っているかを見極めることが大切です。例えば英語のみで合否を決める方式や、国算理社のいずれかに英語が含まれる形式、さらには英語の資格取得による優遇制度まで、学校によって細かい特色があります。受験生は自分の得意分野と学校の求める英語力のバランスを考慮し、最適な受験プランを練る必要があるでしょう。

英語1科目入試

英語のみで合否を決定する入試形式は、英語に特化した力をアピールしたい受験生にとって有利な場合があります。リーディングやリスニング、場合によっては英作文やスピーキングまで含めて総合的な英語力が問われるのが特徴です。一方で、ほかの科目でカバーができないため、英語に自信がない場合は対策期間を長めに確保するなど、計画的な勉強スケジュールの立案が求められます。

(例)駒沢学園女子中学校:英語(リスニング含む)の1科

     啓明学園中学校:得意科目入試で英語の1科

2科目・3科目への英語組み込み

従来の国語や算数に加えて英語を含める入試方式の場合、単独の英語入試よりは配点が低めに設定されることもありますが、全体的な学力と英語力をバランスよく備える必要があります。英語が苦手でも国語や算数の得点でカバーできる反面、英語が得意な子どもにとっては合格を引き寄せる大きな武器になるでしょう。自分がどの程度英語に強みを持っているかを見極めたうえで、このような入試形式を選ぶと効果的です。

(例)芝浦工業大学附属中学校:英語(リスニング含む)・算数の2科

      神田女学院中学校:英語・国語・算数より2科選択

英語資格を利用した優遇措置

英検®やTOEFL、さらには国際的に広く認知されているCEFRの基準を利用する学校も増えており、資格取得者には加点や出願要件緩和などの優遇措置がなされることがあります。取得級に応じて、特典換算されるケースも見られます。この優遇措置を取っている中学校は比較的多い傾向です。

これらの制度を活用すれば、普段の学習で取得した英語資格を入試にも反映でき、受験生にとって大きなメリットとなるでしょう。ただし、資格利用の条件や適用範囲は各学校によって異なるため、事前の情報収集が欠かせません。

(例)昭和女子大学附属昭和中学校:英語・国語・算数の3科

                 英語問題内容は英検3級レベル

                 英検2級以上等取得者は英語免除(100点に換算)

        千代田国際中学校:CEFR A2以上で英語筆記試験90%保証

                 CEFR A1以上で英語筆記試験75%保証

英語力の目安と難易度

英語入試の難易度は学校ごとに異なるため、どの水準を目標にすべきか事前に把握しておくことが大切です。

同じ「英語入試」といっても、出題範囲・難易度は大きく異なる場合があります。例えば英検であれば3級〜準2級レベルの内容が出題される学校がある一方、リスニング力を重視する試験では英検2級程度の話題や表現が求められることもあります。自分の英語力を正しく評価し、各学校の英語入試の傾向と照らし合わせることで、より効率的に学習計画を立てることができます。

英検®・TOEFLなどを指標にする方法

英語力を客観的に測るには英検®やTOEFLなどの資格試験を受け、本番に先立って自身の得意・不得意を把握するやり方が効果的です。これらのスコアや級を目標に学習を進めると進捗も分かりやすく、実際の受験でも自信を持って臨みやすくなります。また、英検やTOEFLの試験対策にはリスニング・リーディング・スピーキング・ライティングの各技能を網羅的に学べる教材も多く、自然と4技能を鍛えられるという利点があります。

学校の出題傾向とレベルの違い

学校によっては英単語や文法の細かい知識を重視する一方、別の学校では英文の長文読解を中心に出題するなど、出題傾向に大きな違いがあります。リスニングや英作文、面接を取り入れるケースもあるため、出題形式を確認して対策を立てることが合格への近道です。過去問や学校のサンプル問題を活用しながら、苦手分野を早期に発見し、重点的に学習を進めていくことがおすすめです。

英語入試に向けた対策と勉強法

英語力を効率的に伸ばすためには、学習環境や時間の使い方を工夫し、長期的な視野を持つことが重要です。

国語や算数などと比べて英語は日常の学習機会を増やしやすい教科であり、ヒアリングやスピーキングの習慣をつくることがポイントとなります。オンライン学習や英語スクールを活用する選択肢も増えているため、自宅学習と塾のカリキュラムをうまく組み合わせることで効率的に力を伸ばすことができます。さらに、家庭内で英語に触れる時間を増やし、興味を肌で感じながら学習するモチベーションを高めていくのも大切です。

独学か塾か?タイプ別に考える

英語の基礎がしっかりしている受験生は、独学で十分に進められる場合があります。帰国子女であれば英語力は高いと推察されるため、自宅学習でも英語の動画やオンライン教材を使い、リスニング・リーディング兼用のトレーニングが可能でしょう。ただし、日常会話で英語を使っていても、文法をしっかり理解していない方も多く見られます。そのような場合は、入試英語の出題内容に苦戦するでしょう。英語が苦手なお子さまはもちろん、普段英語を使っているお子さまでも、専門的なノウハウをもつ塾やオンラインスクールを利用して、体系的に学んだほうが習熟度が高まりやすい傾向にあります。学習計画の立て方に不安がある場合であっても、外部の教育機関を利用することをおすすめします。

長期的視点での学習プラン

英語力は一朝一夕に身につくものではなく、日々の積み重ねが非常に重要です。小学高学年から英語への意識を高め、単語や文法を着実にマスターすることで、中学受験直前に焦らずに済むメリットがあります。また、早期に英語学習を始めることで英語が“当たり前”の学習科目として定着し、心の負担を軽減しながら長期的に実力を伸ばすことができます。

まとめ

中学受験における英語入試は今後ますます拡大する見通しであり、早期の情報収集と対策が鍵となります。

英語入試は学校によって形式や難易度が異なるため、志望校の方針をしっかりと調べ、必要な英語力を把握することが大切です。英語力が武器になる受験生は英語1科目入試などを視野に、総合的な学力で勝負する場合は2科目・3科目入試を検討するなど、自分の強みや学習スタイルに合わせた戦略が求められます。早期からの計画的な学習と、資格活用や塾・オンラインスクールなどのサポートを活用することで、合格へより近づくことができるでしょう。

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